Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

技術の補完性と代替性

Life is beautiful」の記事「Aクラスの人はAクラスの人を採用したがるが、Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる」


http://satoshi.blogs.com/life/2005/11/aabc.html


は、Pixerを例にとって「Aクラスの人がAクラスの人を採用」することの重要さを述べていますが、僕はこの記事を見て、ちょうど今読んでいる「エコノミスト、南の貧困と闘う」という本の内容を思い出しました。


エコノミスト 南の貧困と闘う

エコノミスト 南の貧困と闘う


この本によると、「Aクラスの人はAクラスの人を採用したがる」というのは、技術の補完性と呼ばれるものです。これは異なる技術や技能が補完し合うことで、より大きな収益を得られる現象です。この現象は企業の中だけではなく地域や国家でも起こっており、先進国が発展途上国の人材を引き寄せたり、シリコンバレーのような特定の地域にIT関係の高度な人材が集まることも、技術の補完性で説明できます。技能や技術のある人同士がタッグを組むと、二人の能力の和以上の仕事ができるということですね。
一方、「Bクラスの人はCクラスの人を採用したがる」は技術の代替性と呼ばれる現象になります。自分の持つ技術や技能が古くなった場合、人々はそれを代替する技術の導入を嫌がり収益は下がってしまいます。


ただし、技術や技能を持っている国や地域は、技能のある人や技術そのものを引きつけより大きく成長していくのに対して、技術や技能が無い国や地域は、人材が流出して経済が停滞する傾向があります。だから、世界的に見ても補完性が代替性よりも有力なようです。先の記事で述べられている例もこのような世界的な傾向を反映しているのでしょう。