Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

「赤ちゃんポスト」の経済学?

熊本の病院が、育てられない赤ちゃんを置く(捨てる)ための「赤ちゃんポスト」を設置することになったという話がニュースとなってました。

 熊本市の慈恵病院(蓮田晶一院長)が、様々な事情で子育てができない親が乳児を託す「赤ちゃんポスト」の導入を決めた。「こうのとりのゆりかご」の名で年内にも受け付けを始める方針。病院側は「捨てられて命を落とす赤ちゃんや中絶せざるを得ない母親を救いたい」と説明するが、子捨ての助長につながるとの意見もあり、論議を呼びそうだ。


http://www.asahi.com/life/update/1109/005.html

主な賛成論としては「中絶や赤ちゃんの虐待の防止になる」、反対論としては「子捨てを助長する」「赤ちゃんは物ではない」といったところでしょうが、この話を経済学的に考えるとどうなるでしょうか?
自分で考えてみた結論としては、このやり方が抱える問題点というのは老人医療無料化に似ていると思います。
老人医療無料化というのは、コスト意識を失わせて高齢者の医療需要を増大させ、その結果医療サービス供給を逼迫させたり、医療費の財政負担を増大させるという問題点があります。この「赤ちゃんポスト」というのは子育てコストの負担無しに子供を産むことを可能にするわけですから、もしこのような試みが社会全体に普及すれば、やはり育児や教育のサービス供給を逼迫させ、財政負担を増大させることが予想されます。
つまり高率の税金を負担してでも彼らをきちんと育てるというコンセンサスが社会にない限り、将来まともな育児や教育を受けることができない子供が増えることになります。これは失業や犯罪の増加を招き、社会を不安定化させるでしょう。
中絶や赤ちゃんの虐待を防止したいという考えは立派なのですが、それを持続可能なものにするためには、その赤ちゃんを一人前の大人にするための負担をどうするか、決めておかないといけないことになりますね。