Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

浜六郎という人物

最近、タミフルを巡る問題でマスコミによる批判がものすいごいですが、その一方でネットではタミフルが患者の異常行動の原因かどうか疑問視する声もあるようです。
そんな中で日経BPに掲載されたタミフル関係の記事を2つ見たところ、どちらの記事でもタミフルが異常行動の原因であるという論拠として、浜六郎という医師が出したデータが上げられていました。

一般の報道を追っていただけの人は知らなかったろうが、厚労省のこのような方針大転換の背景には、インターネットの大きな働きがあった。

特にニつのサイトの働きである。

一つは、浜六郎医師が主催しているNPO法人「医薬ビジランスセンター」の「薬のチェックは命のチェック」のインタネット速報版*1のページである。

このページでは、05年2月の段階から、「タミフル脳症(異常行動・突然死)*2」の問題が起きていることを大きく報じ、それ以後も次々とこの問題についての最新情報をアップしてきた(そのすべてをこのページをクリックすればいまからでも読むことができる)。

FDAの報告や、厚労省の報告(タミフルと異常行動の因果関係なし)が出るたびに、浜医師はそれに注釈を加え、同じデータの読み方を変えるだけで、すでに立派に因果関係が立証できるとしてきた(06年11月〜12月)。
そのエッセンスは、NPO法人の医薬品治療研究会が発刊しているTIP(The Informed Prescriber『正しい治療と薬の情報』)誌*3の06年11月号の「第1図*4」(pdfファイルの3ページ目)に示されている。

これは、タミフル服用者と非服用者の間の異常言動の発症割合を棒グラフで対比的に示したものである。

http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/tachibana/media/070324_tamiflu/

「異常言動」発生率は4倍
厚労省の調査結果に異論も

 タミフルは、中外製薬の親会社であるロシュが製造するインフルエンザ治療薬。インフルエンザに伴う発熱の期間を短縮する。中国で鳥インフルエンザが流行した際、「新型インフルエンザに効く唯一の薬」と脚光を浴び、世界各国が備蓄を進めている。吸入式のほかの治療薬とは違って飲み薬である点が特徴。国内では中外が2001年から販売しており、従来型のインフルエンザの治療にも広く使われてきた。
投与初日では大きな差に

 厚労省によると、2006年末までにタミフルを服用した16歳以下の死亡例が16件報告されている。にもかかわらず、同省はタミフルとの因果関係を認めていない。根拠の1つとなっているのが、横浜市立大学の横田俊平教授ら厚労省の研究班が昨年10月にまとめた調査結果。「タミフルを服用した人とそうでない人で、異常言動の発生頻度に差はなかった」と結論づけた。

 だが、被害者の会を支援するNPO法人医薬ビジランスセンター理事長の浜六郎医師は「横田教授らのデータの処理に問題がある」と指摘する。

 「異常言動はタミフルを服用して数時間で起きている。発熱初日のデータに着目すると、タミフルを服用した人で異常言動が発生する頻度は服用していない人の約4倍になった」(浜医師)

 3月19日に厚労省で開いた記者会見では、タミフルの服用によって突然死した疑いのある事例も報告された。薬害オンブズパースン会議は「タミフルの効果は症状が約1日早く収まる程度。そのために異常行動死や突然死のリスクを伴うことは医薬品の有用性を欠く」として、添付文書の改訂などを求める文書を厚労省に提出した。

「タミフル、販売やめない」:日経ビジネスオンライン

この浜六郎という人物に興味を持ったので、Amazonで著書を調べてみたところ、次のような本が見つかりました。

高血圧は薬で下げるな! (角川oneテーマ21)

高血圧は薬で下げるな! (角川oneテーマ21)

コレステロールに薬はいらない! (角川oneテーマ21)

コレステロールに薬はいらない! (角川oneテーマ21)

どうも本のタイトルやレビュー内容を見る限り、この人物は既存の医学的常識とは異なるセンセーショナルな説で世間の注目を浴び、その評価は熱心に支持するファンと反発する批判者の両極端に分かれるようです。
ともあれ、この浜六郎という人物はタミフル問題の一方のキーマンだと思うので、注目する必要があるんでしょうね。

3/27追記

関連記事:kikulog(kikulog)

3/27追記2

関連記事:http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2007/03/post_068b.html


この記事のコメント欄で浜六郎氏の厚労省分析への批判データについて議論されているのですが、それによると今回の浜氏の批判自体は正しいようです。
ただ、先に紹介したkikulogによると、浜氏は「タミフル承認取り消し」を要求するなど新型インフルエンザへの備えを全く無視した主張もしているので、やはり医学的常識とは異なる意見を持つ人物なのでしょう。