Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

安倍政権はなぜ叩かれる?

参院選を次の週末に控えて、マスコミでは「失言」や「スキャンダル」を材料にした安倍政権への批判が、どんどんエスカレートしています。
ただ、安倍政権がそこまで悪い政権なのかと考え直してみると、政策面では余り悪い材料はないように思います。最大の問題と言われる年金問題にしても、これまで数十年に渡って放置され誰も指摘しなかった問題が、安倍政権の社会保険庁民営化をきっかけにして噴出したということであり、安倍政権にはこの問題を「見える化」した功績があるのではないかと、僕は考えてしまいます。


常夏島日記(id:potato_gnocchi)さんによると、社会保険庁の問題がここまで放置されていた背景には、自民党と旧社会党の合意があったようなので、そうなると年金問題の責任は自民党と同じくらい、民主党社民党にもあることになるでしょう。

 社会保険庁の話を書くのもいまさら感がありいろんな意味で気が引けるのですが、まあ。

 続・航海日誌様経由で毎日新聞のこの記事。

年金問題社保庁の地方事務官制度、88年に自社が温存

(前略)自治労・国費評は地方公務員化を迫る身分移管闘争を繰り広げ、法案は4年11国会にまたがって廃案、継続を繰り返していた。

 そして迎えた88年5月。有力厚生族の橋本龍太郎自民党幹事長代理(当時、後に首相)と、自治労をバックとする村山富市社会党衆院議員(同)が密会した。元厚労省幹部によると、2人は国一元化法案の廃案と、再提出しないことで手打ちしたという。この結果、地方事務官の廃止は地方分権一括法施行の00年度まで、12年間遅れることになった。 (毎日新聞 2007年7月20日 3時00分)

社会保険庁のガバナンスがダメな理由は多々あれど、実はこの辺はけっこうポイントとなる問題なのかなと思ったりしました。ここでは、88年5月の手打ちの中で、自治労・国費評の立場しか書いてないけれど、その前の、4年11国会にまたがって廃案・継続を繰り返していたというところもなかなか奥深いような気がします。

社会保険庁の存在意義のオモテとウラ - 常夏島日記


さて、木走日記(id:kibashiri)さんによると、最近は日経新聞が安倍政権への批判を強めているそうです。これが朝日新聞なら過去の因縁もあるので分かるのですが、財界や財務省に近いはずの日経新聞自民党政権を批判するのは異例でしょう。

 ここ一週間の日本経済新聞の社説や記事がいささか異様なのであります。

 普段は政治にはあまり関心がなくもっぱら経済関連の報道が中心なのに、ここ一週間は安倍政権批判の社説や記事が、朝日も真っ青なハイテンションで連日のように紙面を覆っています。

 どうやら本気で安倍つぶしに走り始めた日経記事の猛攻について、検証しておきましょう。

絶妙の時期の爆弾スクープ破裂でわかった日経の安倍つぶしのマジ度 - 木走日記


日経新聞がこれほどまでに安倍批判を強める理由として、かみぽこさんとbewaadさんが、興味深い考察をしています。

ちなみに僕は、一連のスキャンダル流出に財務省が絡んでいるとは口が裂けても言いません。(苦笑)

ただ、財務省が持っている

国税庁

という組織は、国民の払う税金を扱うということで、日本で最もいろんな情報を持っていると一般的に言われています。

検察以上に持っているとね。。。(苦笑)

したがって、財務省周辺にいる人たちは様々な情報にアクセスしやすいはずだという仮定に基づいて話を進めてみたいと思います。


(中略)


これに対して、安倍政権はもうこのブログで何度も何度も書いたのだけれども、(苦笑)

「敵は排除して、仲良し官邸団でがんばろー!」

が、安倍人事の大原則であります。(苦笑)

したがって、経済財政政策の要は

「日銀出身の財務省の天敵、大蔵省を解体し金融庁を作り、日銀の独立性を確立し、金融ビッグバンという言葉を日本で最初に使い、大蔵省の権限を削りに削り取った政策新人類」

塩崎恭久官房長官であり、(苦笑)
官僚に厳しい事で有名な通産省出身の尾身幸次さんを財務大臣に起用。

「狭義の財務族」については、柳沢さんを厚労相に塩漬けした他は、全員、完全に内閣の政策過程から排除したわけだ。

勢いに乗る(?=苦笑)安倍さんは財務省の牙城、政府税調に手を入れるべく石弘光政府税調会長を解任し、本間さんを会長に据えたわけだ。

ところが、これが悲劇の始まりだったと思われる。。。(苦笑)

早くも安倍政権を総括する(苦笑)(2):なぜスキャンダルが頻発するのか。 | かみぽこぽこ。 - 楽天ブログ

安倍政権ならではの色彩とは、今国会でいえば教育関係の法改正は強行採決してでも通す一方、ホワイトカラーエグゼンプションはあっさりと継続審議にしてしまったことに明らかですが、「美しい国」系の話には非常に力が入る一方で、経済関係には冷淡であるということです。ネットなどでは、安倍政権は財界の言うがままといった評価もありますが、確かに経済財政諮問会議ではその手の議論があるものの、諮問会議自体、小泉政権下に比べれば存在感がなくなってきているわけですから、政権内でのウェイトでいえば下がっていることは間違いありません。


(中略)


では、自らの利害に直結する話を後回しにして、そうでない話ばかりに血道を上げる(しかもその結果、政権支持率を上げているわけでもない)政権に対して、財界はどのような態度で望むものと考えられるでしょうか? そういえば、最近の日経は安倍政権叩きに注力しているとの観察がありましたが、日経がどういった者の主張をよく代弁するかといえば・・・。

国鉄と社会保険庁に見る組合問題への対処の相違 | bewaad institute@kasumigaseki


この安倍バッシングの背後に財界や財務省がいるというのも根拠のない憶測でしかありませんが、それを疑ってしまうほど、最近の安倍批判には異様さを感じますね。
もし、これらの存在が安倍批判のバックにいるとすると、財界はホワイトカラー・エグゼンプション財務省は消費税増税という、どちらも格差社会を助長する政策を求めてますから、安倍政権批判をすることは、実は格差社会をますますひどくしかねないのではないかという疑いが出てきます。参院選でその安倍政権批判をしているのが、格差社会解消を叫んでいるはずの民主党社民党共産党国民新党などですから、これは大いなる皮肉ですね。


最近のマスコミや野党による安倍批判については、投票日までにちょっと冷静に考え直してみる必要があると思います。