Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

後藤田正純氏は反市場経済主義者?

 市場経済を否定するつもりは毛頭無い。しかし、行き過ぎた市場経済、市場の暴走は抑えられるべきだ。今の日本で手っ取り早い景気対策は、公正取引委員会が不公正取引をもっと厳格に審査して、廉価販売などの流通を規制することだ。

 廉価販売を規制すれば、ものの値段は上がる。これは一時的には、消費者に不利かもしれない。しかし、消費者が安いものを買うのは、家計が苦しいから。家計が苦しいのは、中小企業が大企業からダンピングさせられたり、過当競争で会社の業績が落ち込み、人件費を削られるから。家計が苦しいから、安くしないと売れない。こうしたデフレスパイラルに陥ったままにしないためにも、政府が適切な価格を導く政策を上手にしないといけない。

「規制緩和論者はもう、かなり少数派」:日経ビジネスオンライン



最近、福田政権が力を入れている消費者保護について、後藤田正純衆議院議員が語っていますが、その中にどう考えても経済学的におかしい話がありました。
後藤田氏は廉価販売を規制すれば景気対策になると言ってますが、廉価販売規制というのは値下げ規制ですから、市場によって需給が均衡している均衡価格よりも高い価格で強制的に取引をさせるということになります。その場合、均衡価格よりも供給は多くなり需要は少なくなりますから、生産者側は売れ行き不振で苦しみ、消費者側は物価高で物が買えずに苦しむということになってしまいます。
これが景気対策になるのでしょうか?w


価格の変動による需給の調節というのは、市場における最も基本的な機能ですから、それを否定する人は、いくら「市場経済を否定するつもりは毛頭無い」と言っていても、市場経済を否定しているとしか思えません。
考えてみれば、後藤田氏が中心的役割を果たした貸金業法改正も、お金を貸すときの価格である利率を制限する法改正であり、やはり市場を否定する考え方です。
本人は気づいていないのかもしれませんが、後藤田氏の考え方には反市場経済的な傾向が強いように思います。こういう人が経済政策で大きな力を持つようでは、日本はどんどん市場経済を否定する方向に進むのでしょうね。