Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

日銀総裁空席による混乱回避のための提案

昨日、政府が提案した田波耕治総裁案を民主党が拒否したことにより、日銀総裁は当面の間空席となることが確定しました。しかし、この状況を憂いている人は少なくありません。

日銀総裁は、「空席」になることが確定した。
  阿呆らしくて、もはや論評する気も起きない。
  かくなる上は、空席期間をできるだけ短くしてもらうよりほかはい。
  今週中に決めてもらう必要がある。

ペンは権力よりも強し: 雪斎の随想録

<3月18日>(火)


(中略)


日本銀行総裁の地位をもてあそぶことは、この円に対する信認を危うくするものです。これを政争の具とすることは、何としても避けるべきです。もちろん、「予算を強行採決された」「自分たちの面子をつぶされた」などへの意趣返しで使うべきではありません。ましてや、国会同意人事を盾にとって、「俺たちに同意させてみよ」とすごむのはもってのほかです。そもそも、そんなことのために使うべき制度ではありますまい。

○今回の政争の結果、誰が総裁になるのかは分かりませんが、それが意外な人であればあるほど、「心の準備ができていない人」が就任することになるでしょう。そういう人に、われわれは向こう5年間の金融政策をゆだね、日々の生活の基盤というべき通貨の信認を託することになります。民主党は「財金分離」などの屁理屈を口にする前に、そのことの重みをまず考えていただきたいと思います。本当にそれでいいのか。まして世界の金融界が大荒れとなっているこのタイミングで。

かんべえの不規則発言



そこで、この総裁空席をできるだけ短くする方法を考えてみました。
今から新たな人を総裁候補とするにしても、その人はかんべえさんが言うところの「心の準備ができていない人」でしょうし、すでに就任している役職もあるでしょうから、説得や準備には時間がかかるでしょう。民主党が非公式に賛成する姿勢を示したと言われる黒田東彦氏や渡辺博史氏が総裁候補とならなかった理由も、一つには両氏ともこのような理由ですぐ総裁を引き受けられるだけの準備ができなかったためだと思います。
従って今すぐ総裁に就任できるのは、これまで総裁・副総裁の候補となりながら民主党の反対で否決された人だけでしょう。
しかし、元財務・大蔵次官である武藤敏郎、田波耕治の両氏は今さら民主党も賛成できないでしょうし、一事不再議の原則から考えても問題があるでしょう。


そこで、もう一人の否決者であった伊藤隆敏氏を総裁候補とするのはどうでしょうか?彼が否決されたのは副総裁ですから、改めて総裁候補とすることは一事不再議の原則に反しないと考えられます。
もちろん民主党にも不満はあるでしょうが、民主党が掲げる「財金分離」の原則から考えても、元財務・大蔵次官ではない伊藤氏ならば、武藤、田波の両氏よりは党内を説得しやすいと思います。どうしても賛成できなければ、棄権や欠席でも良いわけですし。
福田首相財務省にも元財務・大蔵次官にこだわりたい気持ちがあるのかもしれませんが、こうなってはもうそれはあきらめざるを得ないでしょう。
また、ハーバード大学Ph.D.を取得し、英語にも堪能で、世界中の経済学者や金融関係者とも信仰がある伊藤隆敏氏であれば、よもや国際金融の見識に不安があるはずはないでしょう。


この案は自民党民主党財務省それぞれに不満の残る結果ではありますが、できるだけ空席期間を短くする方法としては、最も優れていると思います。
自民党民主党もこれまでの対立は脇に置いて、伊藤隆敏総裁で合意することが日本全体のためになるのではないでしょうか?