Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

バーナンキ議長の力業

11日火曜:投資銀行への政府緊急融資2千億ドル(20兆円)を決定。これで一息、と思いきや、サブプライムでヤバイ橋をたくさん渡った全米第五位の投資銀行、Bear Stearnsの信用不安が広がる


(でも、Bear Stearns側は、「割とよかった今期の業績」の発表間近、と結構うきうきしており、信用不安の噂はBearの株をショートしているヘッジファンドの陰謀だし、、、とか思ってたらしい。CEOは、暢気にフロリダでメディアコンファレンスに参加中。)


13日木曜:事態は急転、$17 billionあったBear Stearnsの現金資産がたった2日で$2 billionまで減少。倒産は免れない、とFederal Reserve(アメリカの中央銀行です)に報告。Federal ReserveがBear Stearnsの資産の精査に入り、数百人が殆ど不眠不休で帳簿をめくることに。


14日金曜:国からBear Stearnsに28日間の緊急貸付を行うので、その間にBear Stearnsを買収してね、とFederal ReserveがJP Morganと話をつける。JP Morganは由緒正しい投資銀行なり。JP Morganは16のチームを作り、Bear Stearnsのデューデリジェンス(審査・精査)を開始。これで一息ついた、とFederal Reserveも安心。


15日土曜:Federal Reserveのチェアマン、Ben Bernankeがあちこちの銀行の頭取に電話で話した結果、「28日間の緊急融資」などという悠長なことでは他の銀行のBear Stearnsへの不安は収まらないことが判明。このまま週があけて金融市場が開いたらとんでもないグローバル連鎖金融不安になると判断、JP Morganに「24時間以内にBear Stearnsを買ってくれ」と依頼。JP Morganは(殆ど)不眠不休でデューデリ


16日日曜:JP MorganとFederal Reserveのネゴの末、Bear Stearnsの損は300億ドル(3兆円)まで国が保証することで、JPのBear Stearns買収が決定。週明けに、日本の市場が世界で最初に開く前に発表。


・・・・すごい馬力だ。ひょえーですな。一旦金融不安のグローバルな悪の連鎖が始まったら止まらない、という理解の元、前代未聞の介入の嵐なわけです。


(中略)


ちなみに、Federal ReserveチェアマンのBen Bernankeの専門は、1929年に起こった「世界大恐慌」なのであった。数々の論文をものしている。


世界大恐慌は、このせいで日独伊の全体主義を招き、第二次世界大戦のきっかけとなった恐るべきできごと。当時アメリカの大統領だったフーバーが「国家は市場・産業に不介入」と放任したため滅茶苦茶になった。


それを研究し尽くしたBernankeならではの、強引なまでのスーパー介入と言えるでしょう。これまで、神と崇められたグリーンスパンの後釜でなんとなく影の薄かったBernankeですが、その実力が最大限に試される時が今。しかし、このタイミングで世界大恐慌の専門家を Federal Reserveのチェアマンに据えるとは、知っていたのかアメリカ、って感じですなぁ・・・・。

アメリカの金融界は心臓に毛が生えているという話 | On Off and Beyond



意外なところでバーナンキFRB議長の話が出ています。ここは普段はITやシリコンバレー系のブログなんですが。
しかし、この介入っぷりには護送船団時代の大蔵省もびっくりでしょうね。緊急時にはここまでなりふり構わずやるんですね。高橋是清の「裏白札」のエピソードを彷彿とさせます。


このブログ主の渡辺千賀さんが言うように、アメリカはこのタイミングに最適の人材を起用したのかもしれませんね。
日本は1998年という最悪の時に最悪の人材を起用してしまいましたが。orz
今回も最悪の人材を起用してしまうのでしょうか?候補者が見つからない大混乱状態という点では、当時と同じですから。