Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

今日の料理は総辞職風w

 【バンコク=山本大輔】タイの憲法裁判所は9日、サマック首相が就任後も料理番組に出演して報酬を受け取っていたことが、閣僚の副業を禁ずる憲法に違反すると判断した。これを受け、サマック首相は同日、就任から7カ月で失職した。ほかの閣僚については、次の内閣の発足まで暫定的に職にとどまることが許された。


 下院が12日に新たな首相を指名する。ただ、今回の判決でもサマック氏の議員資格は残り、同氏が党首を務める最大与党「国民の力党」は同氏を改めて首相に指名する方針を決め、連立を組む5党にも協力を求める意向だ。


 一方、サマック首相の退陣を求め、首相府の占拠などを続けている反政府団体・民主主義市民連合(PAD)は「サマック首相の再任なら受け入れられない」として、抗議行動を継続する方針を表明した。今回の首相失職で、政治混乱が解決に向かう見通しはまだ立っていない。


 判決によると、サマック氏は00年から自らが調理してタイ料理を紹介するテレビ番組を二つ持ち、今年2月の首相就任後も何度か出演。出演料や交通費、料理の材料費などを受け取った。憲法裁はこれが、憲法の禁じる閣僚の副業にあたると認定した。判事9人全員の意見が一致した。

http://www.asahi.com/international/update/0909/TKY200809090284.html



デモ隊が首相府を占拠するなど、混乱が続いているタイの政治ですが、サマック首相が総辞職に追い込まれたそうです。ただ、その理由が「料理番組への出演」で、サマック氏の再任を妨げる規定もないとなると、何のための総辞職なのか理解に苦しむところがありますね。


結局、野党側がいくらデモや占拠、違憲判決などで首相を追い詰めても、議会で多数を握っているのがタクシン元首相系の「国民の力党」ですから、総選挙に追い込んで野党「民主党」が第1党にならなければどうしようもない状況ですね。ただし、かつてタクシン氏が田中角栄のようなバラマキ政策で貧困層が多い北部・東北部の支持を得ていて地盤としているため、民主党はそこに切り込まないと勝ち目はないのでしょう。
そのための手段として手っ取り早いのは、民主党がタクシン政策を丸呑みすることでしょうが、民主党がそれをしないということは、何らかの理由があるのでしょうね。
ただ、それが何なのかが、報道を見ているだけでは分からないんですよねえ。とりあえず思いつくのは、財政的な制約なのか、イデオロギー的なものなのか、地域間の対立感情なのか、反タクシン感情が高じてその政策まで憎んでいるのか、といったところですが、さて、どれなんでしょうか。

追加

今週発売のNewsweekに載っていたタイの記事が面白いですね。これによると、タクシンは田中角栄的なバラマキ政治家ではなく経済のグローバル化と農村の振興を推進した改革者で、反タクシンのデモ活動を行っているPADは、メディア王のソンティ・リムソンクル氏に率いられた既成勢力の団体だそうです。こうなると、タイ版の「小泉政権vs抵抗勢力」という見方もできそうですね。


ネットを検索すると、似たような見方をしているブログがありました。


「サマック政権VS市民民主連合(PAD)」は「小泉政権VS反対勢力」?|ホーチミン市(旧サイゴン)在住・証券アナリストのタイ株、ベトナム株、日本株ブログ


このような見方が正しければ、野党勢力がタクシン政策を丸呑みしない理由になりそうですね。