Baatarismの溜息通信

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悪くはない玉虫色の妥協

 [東京 22日 ロイター] 自民党は22日午前に開いた財務金融部会、政調審議会で、消費税増税に関する表現で異論が噴出していた税制改正関連法案の付則について、経済状況の好転や行政改革の実施を前提に「消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講じる」とする政府案の内容を了承した。

 具体的な実施時期や税率については別途定めることとする「2段階方式」とする。

 原案に反対していた議員も、最終案では2011年度から消費税が引き上げられると受け止められかねないとの懸念は払しょくされたとして了承。23日に総務会での手続きを経て閣議決定され、消費税を含む税制抜本改革の道筋を示した税制改正関連法案が国会に提出される。

 党内亀裂の新たな火種と目された「消費税増税」問題も、一応の収束をみた。


 <税制改正関連法案の付則、首相方針と整合性取りつつ反対派の主張取り込み>

 付則では「2008年度を含む3年以内の景気回復に向けた集中的な取り組みにより、経済状況を好転させることを前提として、遅滞なくかつ段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、2011年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、2010年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」とし、条件付きながら2011年度からの消費税引き上げを主張してきた麻生太郎首相の主張との整合性をとった。

 その上で付則では「施行期日等を法制上定めるに当たっては、景気回復過程の状況、国際経済の動向等を見極め、予期せざる経済変動にも柔軟に対応できる仕組みとする」とし、行政改革推進と歳出の無駄排除に一段と注力することも前提とした。

 準備段階と施行段階を切り分ける2段階方式の法案とすることで、反対派の主張を取り込み、実施時期については景気に配慮することをより明確にした。


 <景気回復では、追加対策が既定路線化>

 政府案に対して、増税反対派の急先鋒だった中川秀直元幹事長や塩崎恭久官房長官なども基本了承。「これまでの議論では2011年度から必ず増税するかのような印象を与える表現だったが、実質2段階論となり、みなの懸念がかなり払しょくできた」(塩崎氏)と評価した。

 ただ、中川氏など多数の議員が、足元の景気情勢は、第2次補正予算や2009年度予算では不十分だとして、追加景気対策の必要性を主張。これに応える形で政調幹部は「補正予算や本予算で本当に十分か。財政上は今、予想している以上のものを考えておかなければならない」と説明。税調幹部も「付則では、3年間は集中的に景気対策を行い経済を好転させることが前提となっている」と説明しており、消費税上げの前提となる3年以内の景気回復に向けて、自民党内では、追加景気対策が既定路線化したとみることができそうだ。


 <政府は「法制化」で、実を取る>

 付則では、2009年度与党税制改正大綱に沿って、所得税法人税・消費税の方向性も明記。初めて法案で、消費税を含む税制抜本改革の検討課題を明確にした。

 個人所得課税では最高税率の引き上げや給付付き税額控除の検討を示し、格差是正に努める。国際競争力強化の観点から、法人課税では課税ベースの拡大や法人実効税率の引き下げを検討する。消費課税では、社会保障目的税化を前提に消費税率を検討することや、消費税引き上げによる低所得者への配慮として複数税率を検討することを明記した。

 関係者によると、政府が今回の与党調整で最もこだわったのは、消費税引き上げ時期よりも「法制上の措置」の項目だという。これが付則に明記されたことで、税制改正関連法案が成立すれば、付則に従って抜本税制改革の具体化に着手することになる。与謝野馨経済財政担当相は昨年12月26日のロイターとのインタビューでは、「暮れから議論しないと間に合わない」と述べていた。


 (ロイター日本語ニュース 吉川 裕子記者)

消費税増税めぐる法案表記は「2段階方式」で決着 | Reuters



税制改正関連法案の付則について、自民党が出した結論は、絵に描いたような玉虫色の妥協でしたね。w
政府は「法制化」を得て、「上げ潮派」は2011年度から消費税が引き上げられるとの懸念払拭と追加景気対策を得たというところでしょうか?
前回のエントリーで、僕は「定額給付金では2人の造反で済みましたが、中川秀直氏が動いたとなるとそれでは収まらないでしょう。恐らく、この件は法案提出にも持って行けないと思います。」と書きましたが、まだまだ自民党有力政治家の狸親父っぷりを甘く見ていたということですか。w
まあ、こういう狸親父っぷりは政治家としては好ましい性質なのでしょう。民主党の有力者にもこういう部分が欲しいところです。


このニュースにあるように、今後の焦点は追加景気対策に移っていくのでしょうね。その中で政府通貨発行が取り上げられると良いのですが。日銀はCP買い取りには積極的になりましたが、シニョレッジ政策に繋がるような国債買い取りには否定的ですからねえ。