建築と経済の怪しい関係
持ち家政策が人間を猛獣化した:日経ビジネスオンライン
“日本ブランド”を高める公共事業とは:日経ビジネスオンライン
日経ビジネスオンラインで、経済学者の竹森俊平氏と建築家の隈研吾氏の対談があったのですが、これが非常に面白い内容で、建築と経済の様々な関係を明らかにしています。
対談の内容を自分なりに要約すると、こんなところでしょうか?
- ゾーニング法による建築規制が不動産バブルを生む
- 供給がゾーニング法で制限されているために、確実な投資対象と思われて、バブルとなる
- ブッシュ政権は社会保障の不在を持ち家で埋め合わせようとした
- 持ち家政策は、人間を「自分の城」を守るためのライオンにする
- アメリカの持ち家政策が、日本では地面信仰となった
- 超高層ビルは建て替えることも壊すこともできない
- バブル期の建築は海外のコピーばかり
- 中国の良いところは、
- ムダではない道路や橋を作る余地があるところ
- 一党独裁で公共事業をすぐ実施できる
- 中国では、個人が普通に土地を買って家を建てることはできない。住宅はマンションか建て売りだけ
- アジア経済危機以降、アジア諸国は自前で投資せず、ウォールストリートに資金を回して投資してもらっていた
- 建設はバブルと2つのフェーズでかかわっている
- 商品に一種の不確実性を意図的に導入するために著名な建築家を入れ、それによって値段をつり上げる
- これからはキャラクターを持った都市や地域が強くなる
- 東京は一番退屈な「優等生的テーマパーク」
- きちんとお金を回収するテクノロジーが伴っていないので、日本のゼネコンは海外に出ていけない
- 日本の地域ブランドの中で、アジア的価値観の中で残るところと残れないところがある
- 建築でも類ないほど歴史を重視する中国人
特に、持ち家政策が人間を猛獣にすると言う話や、建築家がバブル崩壊後の公共事業の恩恵を受けたという話は面白かったですね。
持ち家と人間の「猛獣化」の話は、誰かに経済学的な調査をしてもらいたいところです。「ヤバい経済学」の著者のスティーヴン・レヴィッド氏が取り上げてくれれば、最高なのですが。w
- 作者: スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー,望月衛
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
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