Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

経済成長を否定する鳩山邦夫

鳩山邦夫という政治家にはこれまであまり関心がなかったのですが、元秘書だった上杉隆氏が紹介したこの発言には驚きました。

「右肩上がりの経済成長ばかりを望む時代は終わった。日本は、成熟した環境国家として、世界で初めて“ゼロ成長”、あるいは“マイナス成長”を目指す国家だと宣言すべきだ。民主党は、それを党の政策に堂々と載せるべきだ」

http://diamond.jp/series/uesugi/10083/



これは1998年の新・民主党結党の頃の発言のようですが、環境保護に熱心なのは良いとしても、経済成長を否定するのは問題だと思います。


最近発売された「経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)」に収録されている岡田靖氏と飯田泰之氏の対談によると、先進国では技術進歩によって、長期的に見ると1年当たり2〜2.5%くらい一人当たり生産額は増え続けているということです。つまり売れる量(=需要)が変わらなければ、1年当たり2〜2.5%くらい人手がいらなくなるということです。その分は失業や賃金減少という形で、労働者にしわ寄せがいくことになります。
つまり、鳩山邦夫氏の言うように日本がゼロ成長やマイナス成長を目指すと言うことは、1年当たり2〜2.5%くらいずつ、要らない人間を増やしていくということになります。その結果起こるのは、貧困、様々な形の死(自殺、病死、餓死、凍死など)、それに社会不安(犯罪、暴動、社会崩壊など)ということになるでしょう。

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)



もちろん、鳩山邦夫氏もここまで考えてああいう発言をしているわけではないのでしょうが、彼の主張を実際に行ってしまうと、社会はそういう事態に陥ってしまいます。
そのような社会では、環境保護に必要な資金を確保することもできないでしょう。だから、鳩山邦夫氏の主張は環境にもマイナスとなってしまうと思います。


鳩山邦夫氏に限らず、環境保護のために経済成長を抑制せよと言う意見はよくありますが、経済成長を抑制することがどれだけ恐ろしいことか、もっとよく考えて欲しいと思います。