Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

与謝野馨発言録

個人的な事情で、2ヶ月以上更新が滞ってしまいました。いろいろ書きたいネタはあるのですが、最近ブログを書く時間が取れないので、こんなことになっています。どうもすいません。


このブログでずっと批判してきた政治家と言えば、まず上げられるのが与謝野馨氏(自民→たちあがれ日本→無所属で菅政権の経財相)ですが、震災以降、これまでの増税・デフレ志向の経済政策に加えて、東京電力原発擁護でも批判されるようになりました。
もちろん、財務省を中心とした増税勢力や、経産省を中心とした原発推進勢力によって守られている与謝野氏が、そう簡単に辞めさせられることはないのですが、それでもプレッシャーは感じているのか、最近は暴言とも言える発言が目立つようになりました。

そこで、今回はそういう発言をいくつかまとめてみました。もし抜けているものがあれば、指摘していただければ幸いです。

2011年4月15日


 与謝野馨経済財政相は15日の閣議後の記者会見で、「今後も日本経済にとって、電力供給にとって、原子力発電は大事だ。(原発を)推進してきたことは、決して間違いではない」と述べ、東京電力福島第一原発事故を受けても「原子力は必要なエネルギー源」との認識を示した。

 与謝野氏は日本原子力発電出身で、通産相などとして原発を推進してきた。原発の安全性について「言い訳がましいことは言いたくないが、最良の知見、最善の知識、最良の技術でベストなものをその当時は作ったと確信をしていた」と説明。「原発を推進してきた立場として今回の事故に謝罪をするつもりはないか」という記者の質問に対し、「ないです」と述べた。


asahi.com(朝日新聞社):「原発推進は決して間違いではない」 与謝野経財相 - 政治 asahi.com(朝日新聞社):「原発推進は決して間違いではない」 与謝野経財相 - 政治

日本原子力発電(株)出身の与謝野氏の、原発擁護の姿勢が良く現れている発言です。あれだけの事故が起きたのに、謝罪の言葉もないとはさすがです。

2011年5月20日


 与謝野馨経済財政担当相は20日の記者会見で、福島第1原発事故について「神様の仕業としか説明できない」と述べた。その上で「神様の仕業とは自然現象だ。人間の予想や知恵をはるかに超える津波が起きたのは自然現象であり、あたかも原子力事業者が事故の発生原因まで責任を負わなければいけないという言動があるのはおかしなことだ」と指摘し、過剰な東京電力批判に疑問を呈した。


与謝野氏「福島原発事故は神様の仕業」 過剰な東電批判を疑問視 - MSN産経ニュース 与謝野氏「福島原発事故は神様の仕業」 過剰な東電批判を疑問視 - MSN産経ニュース

天災と人災を混同しているとして批判を浴びた「神様の仕業」発言です。しかし、実際には津波以前の地震の段階で送電線の鉄塔が倒壊し、原発冷却に必要な電源が失われているので、この発言は間違いです。

2011年7月5日


(問)大臣、前回の記者会見の中で1%ぐらいのマイナス、物価下落は何でもないと、プラス要素だということを仰いましたけれども、今政府はデフレの脱却を重要政策として掲げているわけですけれども、この政策を見直すおつもりはあるのですか。
(答)勿論、私は見直したのです。私が前回経済財政担当大臣のときにデフレという言葉を政府の言葉から削除いたしました。定義のない言葉を使ってはいけないと。それを私が申し上げたいと思っています。


(問)今の政権でも同じことをやるのですか。あとデフレの定義は、政府はそれなりにきちんとやっていると思うのですけれども。
(答)デフレは、政府の定義は物価下落が数年続く世界をデフレと言っているのですけれども、1%程度の物価下落で驚いて自己暗示にかかるようなことをやってはいけないと、今でもそう思っております。
(問)ということは、デフレ脱却という政府の政策課題は取り下げるということでいいのですか。
(答)そんなことはありません。政府の課題は、日本の経済を成長させることであります。
(問)矛盾しませんか。
(答)何故矛盾するのですか。


(問)政府はデフレを脱却するということで、今の1%程度の下落が続いている状況を、そういう状況から脱しようというのを政策目標として出しているわけですよね。それは大臣の仰るのは、そういう状態はかえって望ましいのだということを仰っているわけで、根本的に違うと思うのですけれども。違うのだったら違うで、きちんとそこは改めるべきなのではないかなと。
(答)私の記者会見をもう一度読んでいただければ、1%程度の物価下落は労働所得を得ている人、年金所得者にとってはむしろプラスになっているということを申し上げたはずなので、そこのところが重要なのです。


面白いなあ、与謝野さん - finalventの日記 面白いなあ、与謝野さん - finalventの日記

デフレの定義はないと言いながら政府はデフレを定義していると言い、政府がデフレ脱却を目標としているのに1%程度のデフレを自己暗示と言ったり、年金生活者にとって問題ないと言うなど、矛盾だらけの回答をしています。最後はちょっと逆ギレ気味でした。よほどデフレ問題に触れられたくないのでしょうね。

2011年7月15日


 与謝野馨経済財政担当相は15日の閣議後会見で、東日本大震災の復興財源について「一番いけないのは、復興のために借金だけして税目(の議論)は12月の2012年度税制改正に先送りする考え方だ」と指摘した。その上で「一部の閣僚が冗談のように言ってるが、不見識だと断ぜざるを得ない」と述べ、増税議論の先送りを主張する片山善博総務相を事実上名指しで批判した。
 片山総務相は12日、「増税が決まらなければ11年度第3次補正予算を組まないなんて、ばかげた考え方はやめるべきだ。『税税、税税』と言っていてはぜんそくになる」と語った。
 これに対し与謝野経財相は、片山総務相が議員ではないことを念頭に「税は国会議員が政治生命を懸けてつくるもので、そう簡単な話ではない」と指摘。「選挙に関係のない閣僚が税について発言するのは軽率で、国会議員一人一人の苦しみを分かっていない」と苦言を呈した。


時事ドットコム:片山総務相は不見識=復興増税先送り論を批判−与謝野経財相 時事ドットコム:片山総務相は不見識=復興増税先送り論を批判−与謝野経財相

与謝野氏は前回の総選挙では自民党から比例区復活で当選しているのに、今は民主党政権の閣僚になっています。自ら「選挙に関係が無い」かのごとく行動したのは誰なんでしょうね?
あと、税を実際に負担するのは国民です。国会議員だけが税を決めているような発言は、国民を愚弄するものでしょう。

2011年7月15日


 与謝野馨経済財政担当相は15日の閣議後会見で、原発のリスクへの反省がないのではとの質問に「そう思っていただいて結構だ」と語った。福島第1原発事故後も繰り返し原発推進の立場を強調していることに関する質問に答えたもので、「居直り」と取られかねず、波紋を広げそうだ。
 与謝野経財相はさらに、反省なしに原発推進を言うのは不適切ではないかと問われると、「原子力だけに着目して議論せず、社会や生活、経済活動の在り方、他国への資源依存度など全てを考えた上で物事を判断するのが適切だと言っているだけ」と反論。最後は「別に原子力がなくなったからと言って生活レベルが落ちていくだけで、痛くもかゆくもない」と述べ、原子力がなければ現在の経済水準は維持できないとの持論を展開した。


時事ドットコム:「反省ないと思ってもらって結構」=原発リスクで与謝野経財相 時事ドットコム:「反省ないと思ってもらって結構」=原発リスクで与謝野経財相

4月には原発事故に謝罪しないと言った与謝野氏ですが、7月には原発のリスクへの反省もないと言いました。あと、この人にとって、国民の生活レベルは「痛くもかゆくもない」問題のようです。


こうやって見ると、暴言と言える発言は7月になってからが多いです。6月末には「税と社会保障の一体改革」をめぐって民主党内で大激論となり、消費税増税時期を2015年から2010年代半ばと変更したり、景気回復を増税の条件とすることで妥協が図られましたが、このことが与謝野氏にとっては大きなショックだったのでしょう。
あと、与謝野氏の発言は、増税であれ原発であれ、国民生活を守る意志がないという一点で共通しているように思います。僕は長年与謝野氏を批判してきましたが、今になってそれは正しかったのだと心から思います。