Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

与謝野が来たりて笛を吹く

4/4の日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が「バズーカ砲」とも例えられた大規模な「量的・質的金融緩和」を決定した後、円相場は1ドル100円の壁を突破する円安となり、日経平均株価は15000円を超えました。*1
この現象を資産だけが高騰するバブルだと言っている人もいるようですが、機械受注が伸びているという報道もあり、実体経済にも影響が及び始めたようです。
アベノミクスの「第一の矢」である金融政策は、着実にその効果を発揮しつつあるようです。

[東京 17日 ロイター] 内閣府が17日に発表した3月機械受注統計によると、設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節調整値)は2カ月連続で増加、伸び率は比較可能な2005年4月以降で過去最大となった。

製造業、非製造業ともに大型案件が増え、年度末要因に加え円安による企業活動の活発化が奏功した可能性がある。外需も5割近い増加となり、多数の大型案件が押し上げた。この結果、1─3月は前期比ほぼ横ばいとなり、1年ぶりに下げ止まり感が出ている。4─6月見通しは前期比減少だが、年初から徐々に伸びが改善しているほか、製造業では増加傾向に転じつつあることから、内閣府では明るい兆しもあるととらえている。


3月機械受注は過去最大の伸び、4─6月減少見通しも明るい兆し | ビジネスニュース | Reuters 3月機械受注は過去最大の伸び、4─6月減少見通しも明るい兆し | ビジネスニュース | Reuters 3月機械受注は過去最大の伸び、4─6月減少見通しも明るい兆し | ビジネスニュース | Reuters



しかし、そんな明るいムードをぶち壊そうという人物が、自民党への復帰を画策しているようです。

 自民党は15日、与謝野馨官房長官(74)を復党させる方針を固めた。与謝野氏は2010年4月、たちあがれ日本の結成に参加し、自民党反党行為として除名した。党内には復党に異論もあったが、与謝野氏が政界引退後、わび状と復党願を出し、今年旭日大綬章を受章したこともあって認めることにした。

 党関係者によると、与謝野氏はわび状で「民主党政権で大臣になり迷惑をかけた。後進の育成のために尽力していきたい」と記しているという。自民党は近く党紀委員会を開いて復党を認める。除名した議員を復党させるのは初めて。

 与謝野氏はたちあがれ日本の共同代表に就任後、11年には民主党菅直人首相(当時)の要請に応じて経済財政相として入閣。昨年の衆院選には立候補せず、政界を引退した。


朝日新聞デジタル:与謝野元官房長官、自民復党へ 除名後、党に「わび状」 - 政治 朝日新聞デジタル:与謝野元官房長官、自民復党へ 除名後、党に「わび状」 - 政治 朝日新聞デジタル:与謝野元官房長官、自民復党へ 除名後、党に「わび状」 - 政治



この朝日新聞の報道では、すでに与謝野氏の自民党への復党が決まったような書き方でしたが、その後の後追い報道を見ると、与謝野氏が自民党へ復党願を出したのは事実ですが、復党を許すかどうかは今後協議するようです。この朝日の報道は、憶測報道か、復党を狙う勢力による「地均し」だったのでしょう。

 自民党が、3年前に除名した与謝野馨元経済財政担当相の復党を検討することが分かった。石破茂幹事長は17日の記者会見で、与謝野氏から復党願の提出を受けたと明らかにし、内容について「いろいろな反省も込めて述べられている」と説明した。与謝野氏が所属した党東京都連の意向を聞いたうえで、近く党紀委員会で正式に復党の可否を協議する。

 与謝野氏は、自民党が野党だった2010年4月、旧たちあがれ日本の結党に参加。自民党は除名処分にした。11年1月には菅直人首相(当時)の求めで民主党政権の経済財政担当相として入閣。咽頭(いんとう)がんを患ったため昨年末の衆院選には立候補せず、政界を引退した。

 党内には、東京都議選での与謝野氏との連携に期待して復党を容認する声もあるが、「悪い前例を作ってはいけない」(ベテラン議員)と慎重論もある。【念佛明奈】


自民党:与謝野馨氏の復党検討 復党願の提出受ける− 毎日jp(毎日新聞) 自民党:与謝野馨氏の復党検討 復党願の提出受ける− 毎日jp(毎日新聞) 自民党:与謝野馨氏の復党検討 復党願の提出受ける− 毎日jp(毎日新聞)



与謝野氏は以前からインフレ政策を「悪魔的」だと発言したり*2、消費税増税を実現するために自民党や立ち上がれ日本を裏切って、民主党の菅政権の閣僚になった人物です。
特に、長年自民党の政治家であったにも関わらず、消費税増税のために民主党に走った行動は、「コウモリ政治家」と呼ぶにふさわしい行動でしょう。NAVER まとめにその無節操な行動がまとめられています。
このまとめにもあるように、昨年11月にも与謝野氏は一度自民党復党を求めていましたが、この時は「党内の節操がなくなる」という理由で復党は認められませんでした。

自民党に復党する与謝野馨のここ数年の節操のなさがすごい - NAVER まとめ 自民党に復党する与謝野馨のここ数年の節操のなさがすごい - NAVER まとめ 自民党に復党する与謝野馨のここ数年の節操のなさがすごい - NAVER まとめ



最近も与謝野氏はアベノミクスの金融政策は失敗すると批判しています。

[東京 9日 ロイター] 与謝野馨・元経済財政相は、ロイターのインタビューに応じ、2%の物価目標を2年で達成することを大命題として黒田日銀新体制が打ち出した「異次元」緩和策に対し、「財政ファイナンス」であることは明らかで、健全な金融財政政策とは言えないと警告した。

期待に働きかけることで円安・株高が進行しマインドが好転しているが、国民が大熱狂する政策はたいてい失敗に終わると警鐘を鳴らした。

デフレ脱却のための金融政策の柱に2%の物価目標を掲げる「アベノミクス」について、与謝野氏は「インフレを政治家が政策手段として使ってはいけない。アベノミクスはインフレーションをあてにした政策論で、私は批判的だ」と述べた。物価目標達成の可能性については「日銀が物価を動かすことができるかというと、そんな道具は持っていない。能力も持っていない。そういう人に物価目標を作らせるのは無責任極まりない」と批判した。


インタビュー:熱狂は失敗へ、財政ファイナンスに警鐘=与謝野元経済財政相 | 日銀特集 | Reuters インタビュー:熱狂は失敗へ、財政ファイナンスに警鐘=与謝野元経済財政相 | 日銀特集 | Reuters インタビュー:熱狂は失敗へ、財政ファイナンスに警鐘=与謝野元経済財政相 | 日銀特集 | Reuters



このような過去の発言や行動から考えると、与謝野氏の狙いは、「悪魔的」であるアベノミクスの金融政策を潰すことと、消費税増税の凍結や延期を防いで、民主党野田政権時代の決定通りに実施させることだと考えて良いでしょう。
実際、安倍総理は消費税引き上げについて「白紙」と言っており、消費税増税を宿願とする与謝野氏にとって、安心できる状況ではないでしょう。

 安倍政権の消費税引き上げに対する姿勢をひと言で言えば「白紙」というに尽きる。菅義偉官房長官は16日の会見で「現時点で予断を許すことはない。しっかり経済政策を実行して(経済が)軌道に乗るようにしたい、というのが現時点の考え方」と語っている。

 この点を私は14日夜に安倍首相と会食した際、首相本人にも確認した。

官房長官が語ったように、公になっている政権の基本方針だから書いてもいいだろう。安倍に「消費税はどうするんですか」と聞いたら「まったく白紙」という返事だった。念のため、再度「まったくの白紙なんですね」と確かめたら、安倍は「まったくの白紙だ」と言った。

 この言葉をどう受け止めるか。そこは読者の自由だ。私自身の考えは、繰り返すが「増税は延期すべきだ」である。


いよいよ3本目の矢「成長戦略」が動き始めた!アベノミクス成功の鍵を握る『消費税増税の延期』を安倍首相に聞いた  | 長谷川幸洋「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社] いよいよ3本目の矢「成長戦略」が動き始めた!アベノミクス成功の鍵を握る『消費税増税の延期』を安倍首相に聞いた  | 長谷川幸洋「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社] いよいよ3本目の矢「成長戦略」が動き始めた!アベノミクス成功の鍵を握る『消費税増税の延期』を安倍首相に聞いた  | 長谷川幸洋「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社]



もし、復党が実現したら、与謝野氏は財務省寄りである麻生副総理・財務省や、財政再建派である石破幹事長と連携して、黒田日銀の「量的・質的金融緩和」へ圧力をかけ、消費税増税に消極的な安倍総理、菅官房長官に対抗し、消費税増税を実施させようとするでしょう。そうなれば、せっかくアベノミクスによって回復しつつある日本経済は、再び民主党政権時代のようなどん底に逆戻りしかねません。
また、これほどまでに裏切りを重ねた政治家を自民党に復党させてしまっては、まさに「党内の節操がなくなる」というしかないでしょう。


従って、自民党は絶対に与謝野氏の復党を許すべきではないと思います。


与謝野氏は長年ガンを患い、喉の手術で声を失い、その結果、昨年に政界を引退しています。すでに政治家を続けられる身体ではないのですから、もう後進に道を譲り、その決定を見守るべきでしょう。その結果、自分の意に反する政策が実施されるのであれば、それは自分の考えが間違っていたからだと、素直に認めるべきではないでしょうか。

 与謝野馨・前経済財政相(74)が今季限りで政界を引退することが5日、明らかになった。

 官房長官財務相通産相などを歴任した重鎮で、今年6月に出版した著書「全身がん政治家」で闘病生活を明らかにしたばかりだった。今後は療養を優先する考えで、5日に公表された後援者あての手紙では議員生活32年を振り返り、「十分職責を果たしえたと自負しております」と振り返った。

 与謝野氏は1976年に自民党から出馬し初当選。政調会長など要職を務めた。執行部人事を巡る対立から2010年に離党し、たちあがれ日本の結成に加わった後、11年1月に菅直人・前首相の要請で入閣。財政再建を強く訴え、10年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げることを柱にした「社会保障・税一体改革」の成案を昨年6月にまとめあげた。

 一方、39歳で悪性リンパ腫を発症するなど、これまでに四つのがんと闘ってきた。著書「全身がん政治家」では、抗がん剤の副作用で抜け落ちた髪をカツラで隠していたことなどを明らかにしていた。

 与謝野氏は5日に公表された後援者あての手紙で、「引退の直接の原因は、ノドの手術の結果『声を失った』ことにあります」と説明。今月から術後のリハビリをする予定で、今後は四谷の事務所で残務整理にあたるとしている。


十分職責果たした…「全身がん政治家」与謝野氏 十分職責果たした…「全身がん政治家」与謝野氏 十分職責果たした…「全身がん政治家」与謝野氏