Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

最悪のタイミングで中国にすり寄ろうとする韓国

先の記事で紹介したフィナンシャル・タイムズの記事が出た後、日経ではこんな記事も出ていました。

 米金融緩和の出口論議をめぐり、世界の株価が乱調となっている。流動性の宴(うたげ)に幕が引かれるとき、それまで蓄積していた矛盾が噴き出す。
 アジアの焦点は中国の金融バブルの行方であり、その中国への傾斜を深める韓国だ。これら隣国からの混乱波及を最小限に食い止めることが、直近の優先課題として浮上してきた。


(中略)


 よりによって、韓国経済はその中国への依存度を強めている。外交面で中国への傾斜を深めているのと好一対である。

 李明博前大統領の竹島訪問で日韓関係が冷え込んだのを機に、韓国の外貨繰りにも決定的な変化が起きた。当局が外貨融通を受ける先を中国へと移した結果、外貨の手綱は中国に握られることになった。

 アベノミクスの下で超円高が終わり、それまでの著しいウォン安が是正されたことは、韓国の輸出に打撃となった。アベノミクス批判の急先鋒である韓国が、中国に同調を求めているのも見逃せない。

 だが中国経済が変調を来したことで、韓国の中国接近策は裏目に出ている。海外投資家の韓国に対するまなざしが厳しさを増しているのだ。中韓の株価が連鎖安を演じるのはその意味で自然である。
 日本への波及は極力避けたいところ。不幸中の幸いというべきか、昨年秋の尖閣摩擦以降、日本の対米輸出は対中を上回りだした。アベノミクスによる経済立て直しを地道に進めることが、これまで以上に重要性を増している。


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確かに、最近の韓国の反日と中国傾斜は目立っています。
韓国は日本との30億ドルの金融スワップを打ち切る一方で、中国とは中国と580億ドル相当のウォン・人民元スワップを締結しています。

韓国銀行(中央銀行)は24日、韓国と日本が7月3日に期限を迎える30億ドル相当の「通貨スワップ協定」を延長しないことで合意したと発表した。これについて、同行の金仲秀総裁は「規模が小さすぎる。意味がない」と述べた。25日付で環球網が伝えた。

両国間の通貨スワップはこれで、日中韓3カ国とASEAN諸国の「チェンマイ・イニシアチブ」による100億ドル分だけとなる。2011年10月には限度額が総額130億ドルから700億ドルに引き上げられたが、昨年8月、李明博前大統領が独島(日本名:竹島)に上陸したことを受け、日本政府はこの拡大を取りやめていた。

日本側は今回の延長見送りについて、「韓国側から延長要請がなかったため」と説明している。これに対し、金総裁は「通貨スワップ協定は双方の利益になると判断された時に調印するもの。日本側は『韓国が要請すれば延長してやる』といった態度だが、それは適当ではない」と批判した。

このほか、金総裁は「通貨スワップ協定は貿易決済に使われるものだが、実際は全く活用されていない。しかも、30億ドル規模では小さすぎて、あまり意味がない」との考えを示した。


韓国中央銀行総裁が「規模が小さすぎて意味がない」、日韓通貨スワップ延長見送りで―中国メディア (XINHUA.JP) - Yahoo!ニュース 韓国中央銀行総裁が「規模が小さすぎて意味がない」、日韓通貨スワップ延長見送りで―中国メディア (XINHUA.JP) - Yahoo!ニュース 韓国中央銀行総裁が「規模が小さすぎて意味がない」、日韓通貨スワップ延長見送りで―中国メディア (XINHUA.JP) - Yahoo!ニュース


【ソウル、世宗聯合ニュース】韓国が日本と締結している通貨交換(スワップ)協定は7月3日の期限を延長せず、終了することになった。韓国の金融当局は必要がないため延長を見送ったと説明しているが、韓日の微妙な関係が背景にあるとの声も挙がっている。

 韓国金融当局の関係者は韓日通貨スワップについて、当初の目的を果たし、延長する必要がないため期限切れに伴って終了すると説明。別の当局関係者も「両国が延長しないことが良いと判断した。特別な政治的意味合いはない」と話す。

 だが、金融当局の内部では外部向けの説明と内幕は違うとの声が出ている。日本はこれまで、韓国から延長要請がなければ延長しないとの方針を、マスコミなどを通じて発信してきた。まるで韓国が日本に「物乞い」をしていることを前提にしたような方針表明だった。

 これについて、韓国の一部では安倍政権が支持率を高めるための手法だと受け止められている。また今回のスワップ協定見送りまでの過程を日本の右傾化の動きと関連付ける見方もある。韓国にとって、必ずしも必要でないスワップ協定であるにもかかわらず日本の政権の戦術に乗ることはないという当局の判断があったようだ。

 これで、一時は限度額が700億ドル(6兆8572億円)に達した韓日間の通貨スワップは、韓日中の3カ国と東南アジア諸国との通貨交換協定(チェンマイ・イニシアチブ)による100億ドル分だけが残ることになる。

 ただ韓日通貨スワップ終了による韓国金融市場への影響は少ないとされる。現代経済研究院のイム・ヒジョン研究委員はウォンと円を融通し合う同スワップについて、「規模が小さく、韓国は円が足りなくて困っている状況ではない」と解説する。

 金融界のある関係者は「韓日通貨スワップはそれほど役に立たない。むしろ中国との通貨スワップを拡大する方がいい」と話す。

 現在、韓国は中国と580億ドル相当のウォン・人民元スワップを締結している。これは韓中間の通貨スワップ額では過去最高となる。


Chosun Online | 朝鮮日報 Chosun Online | 朝鮮日報 Chosun Online | 朝鮮日報



これらの記事では日韓の通貨スワップチェンマイ・イニシアティブに基づく100億ドルが残っていると解説してますが、実はチェンマイ・イニシアティブによる通貨スワップIMF融資とリンクして発動するものであり、IMF融資がない場合はその20%(20億ドル)しか発動できません。

アジア通貨危機を教訓として、1999年11月の第3回ASEAN+3(日中韓)首脳会議の「東アジアにおける自助・支援メカニズム強化」の必要性合意を受け、2000年5月の第2回ASEAN+3蔵相会議(タイ・チェンマイ)において、二国間通貨スワップ取極のネットワークの構築等を合意した[2]。マルチ化以前はASEAN+3各国の判断の下で二国間契約を多数締結することでチェンマイ・イニシアティブを構成し、2003年末時点で8カ国(日本・中国・韓国・インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ)が参加した[3]。通貨スワップIMF融資とリンクして発動し(IMF融資がなくても締結スワップ総額の20%までは発動可能)、発動された場合は二国間で外貨準備を融通する。


チェンマイ・イニシアティブ - Wikipedia チェンマイ・イニシアティブ - Wikipedia チェンマイ・イニシアティブ - Wikipedia



韓国は1998年のアジア通貨危機の経験のため、IMF融資に対する反発が強い国なので、そう簡単にIMF融資を受け入れられないでしょう。そうなると、日本が韓国に提供できる外貨はわずか20億ドルです。
一方、中国とは580億ドル相当のウォン・人民元スワップがありますが、先の記事で述べたように中国経済が危機に陥ってしまうと、このような通貨スワップは無意味でしょう。
韓国経済は中国への依存が強いので、もし中国が経済危機になれば、韓国も経済危機に陥るでしょう。韓国はそのような場合のリスクヘッジになる日本との通貨スワップは打ち切り、役に立たない中国との通貨スワップを強化していることになります。


下のZAKZAKの記事にもあるように、このような経済面での日本離れ、中国依存は、政治的な反日姿勢、中国すり寄りの方針の影響だと思いますが、ここでもやはり、政治的・イデオロギー的な理由で金融政策を弄ぶという、愚かな方針が採られているのだと思います。

 中国の「影の銀行(シャドー・バンキング)」問題を発端にした経済危機を世界が警戒するなか、中国へのすり寄り姿勢を鮮明にしているのが韓国だ。朴槿恵(パク・クネ)大統領は27日に財界人を大勢引き連れて中国を訪問、習近平国家主席との首脳会談で蜜月関係をアピールする。ただ、輸出に頼る韓国経済はアベノミクスの影響もあって足元がぐらついており、対中依存を高める戦略が裏目に出る恐れもある。

 韓国が「親中反日」路線を強めている。朴大統領は27日夕に習主席、28日には李克強首相ら中国側要人と相次いで会談する。

 経済面での力の入れ方も尋常ではない。朴大統領に同行する財界人は現代自動車やLG電子の会長ら総勢70人超と過去最大の規模。大統領自身も北京での日程を終えた後、韓国企業が相次いで進出している西安を訪れる。

 中国側も「史上最高級のもてなしで朴大統領を受け入れる」(韓国外交筋)見通しで、中韓の親密ぶりを日本や米国に見せつけ、牽制(けんせい)するという思惑で一致している。

 韓国政府は14日には、中国とのFTA(自由貿易協定)を積極的に推進すると表明、日本が交渉参加するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)とは距離を置く方向だ。日中韓3国によるFTAも交渉中だが、中国との2国間交渉が先行しているのが実情だ。

 韓国と外貨を融通し合う「日韓通貨交換(スワップ)協定」についても130億ドル(約1兆2600億円)の融通枠のうち30億ドル分(約2900億円)は延長しないことが決まった。一方で中国との通貨スワップは11年に規模を拡大、昨年には貿易決済にも利用することで合意した。

 「韓国は円高ウォン安を前提とした経済構造であるにもかかわらず、アベノミクスで前提が崩れ、輸出品で電機や自動車など競合分野が多い日本に対する競争力が失われている。中国との関係強化で日本包囲網を敷こうとするのがクネノミクス」(銀行系証券アナリスト)というわけだ。


 経済評論家の上念司氏はこう語る。

 「いわば安愚楽牧場事件の中国不動産版のようなもので、高利回りの配当が払えなくなれば、大損する人が続出する。貯金代わりに理財商品を持っている人もいるので、破綻すると暴動に発展する恐れもある」

 理財商品を中心とした「影の銀行」は中国の国内総生産(GDP)に匹敵する約460兆円規模にまで拡大しており、中国当局は、金融引き締めで潰そうとした。これが短期金利の異常な上昇や株価の暴落、銀行の債務不履行(デフォルト)懸念などのきっかけとなった。

 東洋経済新報社元編集局長で企業文化研究所理事長の勝又壽良氏は、「李克強首相は、農地を開発する『都市化政策』を掲げたことで、地方政府がこれ幸いと一斉に不動産への投機を加速させ、開発業者もアングラマネーを取り込んで土地を買っている」と指摘する。みずから膨らませたバブルを金融引き締めでつぶそうとして、世界経済を混乱に巻き込もうとしているのが「リコクノミクス」の正体だ。

 そして、実は韓国も理財商品と同様の問題を抱えているという。日本の信用組合に近い貯蓄銀行が、高金利で集めた預金を不動産融資に回したが、焦げ付きを起こして破綻するケースが相次いだ。「もともと個人など民間の債務が大きい韓国だが、金融機関を公的資金で救済することになると、政府の債務も大きくなり、1997年に国際通貨基金IMF)の管理下に置かれたときのような経済危機の再来になりかねない」(上念氏)

 日本がアベノミクスの金融緩和でデフレ不況から脱却しようとしているのと対照的に、危機に突入しようとしている中国と、それに追随しようとする韓国。

 前出の上念氏は「韓国は強い者の後をついてゆく事大主義の傾向がある。中国に接近することで火中のクリを拾うことになるのではないか」と語る。中国依存で大きなツケを払うことになりそうだ。


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日経ビジネスで3回にわたって、韓国の外交姿勢を分析する記事がありましたが、この分析の根拠になっているのは、安全保障や経済のリアリズムではなく、歴史的、感情的な日本蔑視、中国崇拝感情です。韓国の専門家ですらそのような切り口を使わないと韓国を分析できないという事実に、僕は愕然としました。

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そのようなリアリズムを欠いた外交がうまく行くはずはないと思います。韓国は同じようにリアリズムを欠いた事大主義外交を行った日韓併合以前と同じように、安全保障と経済上の危機に陥るのではないかと懸念しています。