Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

「リフレの年」だった2013年

2013年の金融・証券市場は歴史的な株高・円安となった。日経平均株価は年間で57%上げ、41年ぶりの上昇率を記録。円は対ドルで34年ぶりの下落率になった。世界の投資マネーが新興国から先進国へと向かうなか、大規模な金融緩和などで日本が長引くデフレから…

消費税増税決定について

非常に残念なことですが、10/1、安倍総理は消費税を来年4月から8%に増税することを発表しました。 その一方で安倍総理は5兆円規模の補正予算を組むので、実質的には3%増税のうち2%は負担増にはならないという話があります。リフレ派として知られる、内閣参与…

渡る世間は(財務省の)ポチばかり

前回の記事で取り上げた「安倍総理が消費税増税決定」の「誤報」ですが、その後報道はさらにエスカレートして、安倍総理が消費税増税を「決断」したという記事が「何度も」繰り返し報道されるという事態になってしまいました。 この件について、日本報道検証…

安倍総理は財務省の「歳出権」の前に屈するのか?

消費税増税を巡って、先週、マスコミが奇妙な「誤報」を出しました。 読売新聞は、9月12日付朝刊1面トップで、安倍晋三首相が消費税を来年4月に8%に予定どおり引き上げる意向を固め、増税による腰折れ対策として5兆円規模の経済対策を実施する考えだと報じ…

「歳出権」のための消費税増税

[東京 12日 ロイター] 安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米エール大名誉教授は12日、ロイターとのインタビューに応じ、同日朝に発表された4─6月期国内総生産(GDP)を踏まえ、予定通りの消費税増税は日本の景気に悪影響を…

最悪のタイミングで中国にすり寄ろうとする韓国

先の記事で紹介したフィナンシャル・タイムズの記事が出た後、日経ではこんな記事も出ていました。 米金融緩和の出口論議をめぐり、世界の株価が乱調となっている。流動性の宴(うたげ)に幕が引かれるとき、それまで蓄積していた矛盾が噴き出す。 アジアの…

習近平は「中国の鬼平」なのか

先週くらいから、急に中国経済への不安を指摘する報道が増えてきました。そのきっかけは、上海銀行間取引金利(SHIBOR)が急騰して、6/20には13%台をつけたことだったようです。僕が最初にこの件を知ったのはフィナンシャル・タイムズの報道でした。この記事…

黒田日銀を苦しめる白川時代の負の遺産

先週の記事で「次回の日銀決定会合は6/10〜11(次の月曜、火曜)です。日銀はこの決定会合で、今回の株安、円高への対応を迫られることになるでしょう。」と書いたのですが、結局6/11の日銀決定会合は、現状維持という結論でした。 日銀は10〜11日に開いた金…

銀行擁護と消費税増税がアベノミクスを殺す

昨年11月の衆院解散以降、順調に進んでいた株高と円安が、5月下旬ごろから株安・円高に転じ、乱高下を繰り返しながらも未だにその傾向は続いています。 日経平均株価 円ドル為替レート 円ユーロ為替レート この下落については、当初はリフレ派の間でも急速な…

与謝野が来たりて笛を吹く

4/4の日銀金融政策決定会合で、黒田総裁が「バズーカ砲」とも例えられた大規模な「量的・質的金融緩和」を決定した後、円相場は1ドル100円の壁を突破する円安となり、日経平均株価は15000円を超えました。*1 この現象を資産だけが高騰するバブルだと言ってい…

これが真の「日銀砲」

4/4の日銀金融政策決定会合で、黒田総裁は事前の予想を大きく超える規模の「量的・質的金融緩和」の導入を決定し、これにより市場は一気に円安・株高となりました。 「量的・質的金融緩和」の導入について 1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会…

白河前日銀総裁がイグ・ノーベル賞受賞

関係筋からのリークによると、今年のイグ・ノーベル経済学賞は、日銀の白河法皇前総裁に与えられることが判明した。 受賞の理由は「流動性の罠が発生してから15年以上に渡って日本でデフレ政策を続けた結果、世界中の経済学者がその問題の大きさを認識し、リ…

白川前総裁はなぜデフレを放置したのか

21日、日銀の黒田執行部が発足し、白川旧執行部は終わりました。 黒田新総裁と岩田新副総裁は、これまで白川総裁が拒み続けてきた大規模な金融緩和を実施することで市場の期待に働きかけ、デフレ脱却を目指すことになるでしょう。 インフレ期待を示す指標で…

岩田規久男日銀副総裁、黒田東彦日銀総裁誕生

タイトルの順番が違うって?まあ、それは思い入れの差ですからw [東京 15日 ロイター] 参院は15日午前の本会議で、次期日銀総裁に黒田東彦アジア開発銀行(ADB)総裁、副総裁に岩田規久男学習院大教授、中曽宏日銀理事を充てる人事案を与党などの賛…

反リフレ政党となった民主党

[東京 12日 ロイター] 民主党は12日夕の「次の内閣」で、政府が提示している次期日銀正副総裁人事案について、黒田東彦総裁候補と中曽宏副総裁候補に同意する一方、リフレ派の急先鋒とされる岩田規久男副総裁候補には反対することを正式に決めた。ただ…

日銀総裁・副総裁候補の評価と、民主党内リフレ派への期待

先週の3/5と3/6に、日銀総裁、副総裁候補となっている黒田東彦氏、岩田規久男氏、中曽宏氏の所信表明が衆議院で行われました。 これについて様々な報道が行われましたが、「株の学校」というブログで、日本経済新聞に掲載されていた三人の発言が分かりやすく…

次期日銀総裁・副総裁人事について

[東京 28日 ロイター] 政府は28日、衆参の議院運営委員会理事会に、次期日銀総裁として黒田東彦・アジア開発銀行(ADB)総裁、副総裁に岩田規久男・学習院大教授と中曽宏・日銀理事(国際関係統括)を候補者とする人事案を正式に提示した。参院で多…

日銀は本当にインフレターゲットを導入したのか? (Ver 2.0)

パソコンでこのブログを読んでいる方はご存じだと思いますが、このブログには長い間「リフレ政策を発動せよ インフレ目標2.0%で日本は変わる」というバナーがついていました。 そしてついに1/21〜22の金融政策決定会合で、日銀は2%の「物価安定目標」を導入…

2012年を振り返って

前回の記事から1ヶ月以上が経ち、2012年も終わろうとしています。 総選挙は結局自民党の大勝利となり、自公で325議席となって衆院の3分の2以上を占めることになりました。一方、民主党は大敗し、議席は57に落ち込みました。日本維新の会は54議席を得てそこそ…

リフレ政策を打ち出した安倍自民党総裁

衆院解散が決まった直後から、自民党の安倍総裁が積極的なデフレ対策を主張してインフレターゲットや日銀法改正まで言及したため、リフレ政策が総選挙の争点として急浮上してきました。 [東京 15日 ロイター] 自民党の安倍晋三総裁は15日、政権を奪還…

民主党をぶっ潰した野田政権の最期

野田総理は11/14の自民党安倍総裁との党首討論で、特例公債法案成立と次期国会での衆院定数削減成立を条件として衆院解散すると明言し、自民党がその条件を受け入れたため、16日に衆院は解散され、総選挙となりました。この野田総理の突然の衆院解散について…

増税は利権の温床

前回の記事から2ヶ月近くが過ぎてしまいました。その間に、復興増税に賛成した谷垣自民党総裁は総裁選に立候補することすらできず、総裁任期を終えてしまいました。一方、野田総理はなんとか民主党代表選には勝利しましたが、相次ぐ離党で衆院の議席は大きく…

消費税増税を主導したのは誰なのか?

先週書いたエントリーについて、常夏島日記さんにとりあげていただきました。それを読んで色々考えさせられることがあったので、今回はそれを書きたいと思います。 官僚が悪だくみをしてる、って言えば事情通のように政治を語っているように聞こえてしまうの…

財務省の財務省による財務省のための消費税増税

8/10に、ついに消費税増税法案が参議院で可決されてしまいました。これで消費税は2014年4月から8%、2015年10月からは10%に引き上げられることになります。一応、「名目成長率3%、実質成長率2%」の努力目標があり、最終的な増税の判断は半年前の来年10月に行…

消費税増税後の日本

すでに報じられているように、6/26に民主、自民、公明三党などの賛成多数で、消費税増税法案が衆議院で可決されました。その際、民主党からは多くの反対・棄権票が出て、その中でも小沢一郎氏を中心としたグループは民主党を離党し、新たな政党「国民の生活…

「物価安定の目途」の失敗

1日のニューヨーク外国為替市場で円相場は4日続伸し、前日比30銭円高・ドル安の1ドル=77円95銭〜78円05銭で取引を終えた。米雇用統計を受けて、米雇用の回復が鈍化しているとの見方から円買い・ドル売りが優勢となった。一時77円66銭まで上昇し、2月14…

自作自演で金融緩和の効果を打ち消す日銀

[東京 27日 ロイター] 日銀は27日に開いた金融政策決定会合で、資産買入基金による長期国債の買い入れ額を10兆円拡大するとともに、上場投資信託(ETF)を2000億円、不動産投資信託(J─REIT)を100億円それぞれ増額する追加金融緩和…

迷走する日銀

[東京 10日 ロイター] 日銀は9─10日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である無担保コール翌日物金利の誘導目標を0─0.1%程度に据え置くことを、全員一致で決定した。金融資産買入基金による緩和策についても現行計画に変更はなかった。 金融…

日銀、「インメド」に代わり「インドメ」を導入

日銀は次回の金融政策決定会合で、2月に導入された「中長期的な物価安定の目途」(通称:インメド)に代わり、新たな物価の基準「中長期的な物価安定の歯止め」(通称:インドメ)を設ける方針であることが分かった。 元々、日銀は金融政策における裁量を重…

消費税増税実施に成長率の条件を入れることは財政再建にマイナスか

先週から、民主党で消費増税法案の党内事前審査の議論が行われています。 その中で最大の議論になっているのが、経済が好転しなかったときに消費税増税を凍結する「弾力条項」に、経済が好転した条件として具体的な成長率の数字を入れるかどうかです。この数…