Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

中国の今後について

bewaadさん 雪斎さんが中国の封じ込めについて書かれてますが、中国の今後のシナリオとしては、「台頭」か「混乱」かの二者択一として考えているように思います。


http://bewaad.com/20060105.html#p01
正月休みプレミアム: 雪斎の随想録


ただ、僕は一般に「台頭」として論じられている議論は、実は「台頭」と「暴発」の2つのシナリオに分けられると考えています。だからシナリオは3つになります。

「台頭」シナリオ
中国政府が現在の経済発展に伴う混乱を、国内改革と警察力の行使で押さえ込むことに成功し、社会の安定の元、経済発展を続ける。経済力に比例して軍事力や外交力も向上し、東アジアの大国として台頭する。中国は東アジアにおけるアメリカの覇権に挑戦するが、同時にアメリカとの争いで大国の地位を失うことを怖れるため、東アジアに米中の力の均衡が生まれ、時々緊張はするものの基本的には安定した状態が続く。
「混乱」シナリオ
中国政府が国内の混乱を押さえるのに失敗し、地方の役人である「諸侯」が実権を握る。地域によっては暴動で無政府状態になったり、暴動の指導者が権力を握ったりもする。地域間で内戦も勃発し、内戦や圧政を逃れようとする難民が国内、国外に流出する。中央政府は形の上では存続するが、すでに全土を掌握する実力はない。
「暴発」シナリオ
中国政府は軍事力で辛うじて国内の混乱を押さえるが、その過程で実権は軍に移り、中国は軍国主義化する。軍による大規模な虐殺も発生し、中国は国際的に孤立する。その状況を脱するため、軍の指導者が軍事的な冒険に乗り出し、東アジアは戦争の危機を迎える。また、軍事力を背景にした瀬戸際戦術外交も行う。


「台頭」シナリオの場合は雪斎さんやbewaadさんのおっしゃるような「封じ込め」(「塞き止め」)政策が有効だと思いますが、「暴発」シナリオの場合は封じ込め政策が果てしない譲歩に繋がる可能性があるのが、悩ましいところだと思います。
結局、外交的な解決策が容易であるという点では、日米にとって「台頭」シナリオが一番マシな選択肢だと思います。ただ、どのシナリオになるかは中国次第なので、こちらとしては中国政府が内部矛盾の解消に成功することを願うしかないのですが。