Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

トリックスター

フィナンシャル・タイムズがホリエモンを称える: 極東ブログ」によると、フィナンシャル・タイムズの論説にこんなことが書いてあるそうです。

Second, by doing deals that have frequently tested financial market rules, Mr Horie has highlighted the rules' inadequacies.

(意訳)第二に、ホリエモンはしばしば金融マーケットのルールを試す行動を取って、ルールの欠点を明らかにした。

この論説が書かれて1日も経たないうちに、東証ではライブドアの家宅捜索に端を発した株価暴落のために取引量が膨れあがり、ついにシステムの限界を超えて取引の全面停止に追い込まれてしまいました。
図らずもホリエモンのせいで日本の株式取引システムの欠陥が明らかになってしまったわけです。


考えてみれば、プロ野球でもテレビ局でも衆院選立候補でも、彼が動くたびにいろんな問題が露わになって既存のシステムが揺らいだり、多くの人が運命を狂わされて転落したりしました。
神話や民話では、このような役回りをトリックスターと言います。


はてなキーワードにはこんな解説が載っています。

trickster

神話・民話などに登場する、いたずら者。秩序と混沌、文化と自然、善と悪など対立する二世界の間を行き来し、知恵と策略をもって新しい状況を生みだす媒介者。

トリックスターは二面性をもっている。悪がしこい策略家で、他人をわなにかけたり、物をうばったり、殺したりするような存在である一方で、自分が仕掛けた罠に自ら掛かったりするような、愚かな失敗をするこっけいな人物でもある。また、トリックスターは、そのずるがしこさ、策略などをもちいて、人間が文化的存在としてあるためになくてはならない重要な物や知識、技術など、たとえば火や作物を人間にもたらす文化英雄でもある。つまり、トリックスターは、一面では社会秩序、文化秩序、道徳規範を破壊する存在であり、反面では文化の成立、秩序の確立をもたらすという、両義的存在である。

悪賢いけど愚かな失敗をし、既存の秩序や規範を破壊して新たな文化や秩序をもたらすとは、正にホリエモンを表すのにぴったりな言葉ではありませんか。


ライブドア東京地検特捜部の家宅捜索を受けました。近いうちにホリエモンは逮捕され、ライブドアもどこかに買収される可能性が強いでしょう。しかし希代のトリックスターであるホリエモン、失うものを無くした彼が開き直って大暴れし、さらに多くの秩序や運命をねじ曲げていく、そんな姿を見せてくれることを期待しています。w