新聞の特殊指定見直し問題で見えてくるもの
最近、新聞では「特殊指定見直し反対」という文字がやたらと踊り、それに呼応してほとんどの政党でも反対論が盛り上がっているようです。
この問題はもともと公正取引委員会が新聞の価格を統制する「特殊指定」を見直し、新聞の価格競争ができるようにしようとしたところ、全ての新聞が「宅配制度が維持できなくなる」と反発し、紙上を私物化して「見直し反対」のキャンペーンを張ったことに始まってます。
まあ、新聞は長年居心地の良い価格統制環境に浸っていたので、報道の中立性を投げ捨ててでもそのような環境を守ろうとしているのでしょう。これまで多くの業界が自由化に反対してきたのと同じ事です。日本の新聞がその程度だと言うことは、もはや常識ですしね。w
しかし、何故与野党や左右を問わず、ほとんどの政党で反対論が起こっているのでしょう?
この疑問に対して「http://blog.livedoor.jp/k95123548/」さんが興味深い推測をしています。
このニュースでびっくりするのは与党も野党も「特殊指定見直し反対!!」の大合唱なことですね。おおよそ見当がつくのは「新聞業界に睨まれたくない」という政治家の意図でしょうが、恐らく理由はそれだけじゃないでしょう。
これはあくまで推測ですが、地方の販売店主って結構その地域じゃ「顔役」なんじゃないでしょうか。選挙をやる時に「どこにどういう人が住んでいる」ってことを良く知っている人って、貴重だと思うんですよね。新聞の販売店の拡販攻勢って凄いですよね。引っ越したらすぐにやってくるし。どこで仕入れたのかこういうことを知っている人って、世の中に特定郵便局長と新聞の販売店主くらいなものだと思うんですよ(笑)。販売店が選挙運動をやっているという話しは聞いたことはありませんが、これって新聞が報道しないだけなんでしょうか。とにかく、特殊指定見直しに与野党がこぞって反対するのは、こういう事情もあるのかもしれません。
もっとも、政治家の中にも見直し賛成論があるのを、新聞が報じていないだけなのかもしれませんけどもぉ。
この推測によると、政治家が「特殊指定見直し反対」に走る理由として、3つの点が上げられます。
- 新聞業界に睨まれたくないから
- 選挙の時に新聞販売店の協力を得ているから
- 賛成している政治家もいるが、マスコミが伝えない
このうち、最も注目すべき視点は2だと思います。
郵政民営化の時に、自民党の選挙で特定郵便局長が大きな役割を果たしているという事実が明らかになりましたが、新聞販売店も特定郵便局と同じく地域の個人情報を把握できる立場にいます。これらの個人情報は選挙戦に非常に役立つでしょう。新聞販売店という立場上、選挙戦の表に立つことはできないかもしれませんが、裏で協力や情報提供を行うことはあるかもしれません。
そしてそのような協力を得ている政治家は、政党を問わず旧来型の選挙を行っている政治家、かんべえさんの表現を借りれば「クラシック」となるでしょう。逆に「ネオ」の政治家は新聞販売店の協力にはあまり頼らないでしょう。
だからもしこの推測が正しければ、「特殊指定見直し」への賛否を「ネオ」と「クラシック」の判断に使えることになります。
ただ、3の理由により「特殊指定見直し賛成」の意見は報道されませんから、実際に分かるのは「クラシック」の政治家だけということになりますが。
現状で「特殊指定見直し反対」を打ち出していることが分かっている政党やその内部団体のリストを作ってみました。
- 自民党 新聞販売懇話会(会長代行・中川秀直政調会長)
- 自民党 二階派
- 自民党 丹羽・古賀派
- 自民党 河野グループ(ただし「参加した議員の大勢」)
- 民主党 「新聞と『知る権利』議員懇談会」(会長・山岡賢次副代表、顧問・鳩山由紀夫幹事長、松本剛明政調会長)
- 公明党 「新聞問題議員懇話会」(会長・冬柴幹事長)
- 社民党
- 共産党
あと、小泉首相と安倍官房長官も関連発言を行っていますが、はっきり「特殊指定見直し反対」とは言っていないので保留としておきます。
竹中総務相と組んで「ネオ」ぶりを発揮しているはずの中川政調会長が、実は特殊指定見直し反対派の急先鋒というのが面白いですね。