Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

六カ国協議が決裂した要因

先日行われた六カ国協議ではアメリカが「金融制裁」を全面解除したにも関わらず、北朝鮮が資金の入金がないことを理由に協議の続行を拒否して、協議は決裂してしまいました。
このような事態になった理由について、かんべえさんは「かんべえの不規則発言」の中で次のように解説しています。

〇それよりも面白く感じられるのは、下駄を預けられたバンチャイこと中国銀行が、書類の不備を理由に資金の引渡しを拒否し、結果として六カ国協議が決裂してしまったことです。さすがは外資を受け入れた中国銀行法令遵守の精神は見上げたものです。ここで独裁国家相手に、不透明なカネのやり取りをしてしまっては、所詮、中国の銀行はグローバルスタンダード足りえない、ということになってしまうでしょうからね。要は皆さん、経済のグローバル化というものを甘く見ていたのではないのでしょうか。

かんべえの不規則発言<3月21〜22日>(水〜木)

また、朝鮮日報でも次のような記事が出ています。

 6カ国協議の決裂は、凍結解除されたバンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮資金2500万ドル(約29億5000万円)の受け入れ先となる銀行が一行もないことが原因であることが分かった。

 韓国の6カ国協議首席代表の千英宇(チョン・ヨンウ)外交通商部韓半島朝鮮半島)平和交渉本部長は23日、「最も困難な点は送金ではなく、北朝鮮の資金を受け入れる銀行が世界にないという点だ。北朝鮮は現金での受け取りや、北朝鮮国内の銀行への送金も望んでおらず、外国に口座を持ち続けようとしている」と述べた。

北朝鮮、資金の受け入れ先として海外口座の開設を要求

 2005年9月に米国財務省がBDAを資金洗浄の疑いがある銀行として定めて以来、全世界の金融機関は自発的に北朝鮮との取引を中断し、その後北朝鮮は事実上外国為替取引ができない状態だ。千本部長の発言からして、北朝鮮は今回の協議で資金の凍結解除だけではなく、外国為替取引ができる口座の開設も要求しているものとみられる。韓国政府関係者は、「北朝鮮は資金を受け取ることはできるが、口座の開設は北朝鮮と銀行が解決する問題」というのが米国の立場だと説明した。

◆銀行側「北朝鮮資金との接触に警戒」

 北朝鮮は当初、中国銀行(BOC)の自国口座への送金を要請したが、銀行側は信用の低下を警戒して拒否した。北朝鮮ベトナム、ロシアなどの銀行口座での受け取りを打診したがやはり拒否された。韓国政府当局者は、「銀行が北朝鮮資金との接触に警戒感している。(北朝鮮資金を受け入れる)第三国の銀行を決めてもそこが受け入れるか未知数だ。銀行を所有する国の政府に打診してもいい返事はもらえない」と述べた。

北朝鮮、BDA口座の名義人について説明できず

 韓国の外国為替専門家は、BDAの50の北朝鮮口座はほとんどが仮名の可能性が高いと指摘している。新韓銀行外国為替専門家は「口座の名義人がすでに北朝鮮に召喚されて現地に存在していなかったり、名義人は異なるのに同じ署名で登録されていたりすれば、送金を申請することはできない」と説明した。口座のほとんどが、死亡した朝光貿易のパク・ジャビョン総支配人とすでに北朝鮮に召喚されたハン・ミョンチョル元総支配人名義になっているという。

◆政治的解決が唯一の方法

 中国側は韓国の銀行に解決の要請をしている。しかし、開城工業団地内のウリ銀行支店や金剛山の農協支店などには外国為替の決済機能がないことから、専門家は不可能だとしている。だとすれば他の解決方法はないのか。外換銀行のある関係者は政治的解決を提示し、「米国政府が違法資金の取引について後で問題にしないと約束すれば可能だろう」と述べた。

金洪秀(キム・ホンス)記者

北京=李河遠(イ・ハウォン)記者

朝鮮日報:対北制裁:「北朝鮮資金の受け入れ銀行がない」

つまり、アメリカが凍結解除したバンコ・デルタ・アジア(BDA)の資金を北朝鮮が受け取ろうとしたところ、中国銀行をはじめどの国の銀行も受け取りを拒否してしまたっため、北朝鮮はその資金をどこにも送金できない状態となってしまっているようです。
朝鮮日報の記事では「米国政府が違法資金の取引について後で問題にしないと約束すれば可能だろう」という話ですが、仮に今回アメリカ政府が約束したとしても、後でアメリカの方針が変わることは十分考えられるので、まともな銀行ならそんな危険は犯したくないでしょうね。何しろ違法資金の話は犯罪やテロに直結しかねませんから。アメリカや中国の政府が、わざわざまともでない銀行を北朝鮮に紹介するというのも、ブラックユーモアにしかならないでしょうし。


案外、北朝鮮の首はこういうところからじわじわと絞まっていくのかもしれませんね。