Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

捕鯨問題は慰安婦問題の再来?

日本の捕鯨船団が南極海での調査捕鯨に向けて出航したことについて、米国務省のマコーマック報道官は19日、定例記者会見で、「日本が今年の捕鯨を自粛するよう呼びかける」と語った。今回の調査捕鯨をめぐっては、国際環境保護団体による抗議活動のほか、反捕鯨論の強い米英、オーストラリアなどで反発が強まっている。

 マコーマック報道官は、ナガスクジラと今年調査対象に加えられたザトウクジラについて、「特段の配慮」を日本側に求めた。同報道官は、国際捕鯨条約に基づく日本の調査捕鯨の権利は認めるとしながらも、クジラの生態に関しては「非致死性の調査技術が利用可能だ」として、「別の方法」を促した。

 ただ、国際環境保護団体が抗議船を南極海に派遣し、実力で調査捕鯨を妨害することについては、「この海域で船舶が沈んだり、損壊すれば悲惨な結果を招く」として、団体側にも自制を求めた。

 捕鯨船団の出航を受けて、英国では19日の主要メディアが「再び救え、クジラを」(インディペンデント紙)といった捕鯨反対の報道ぶりをみせた。捕鯨海域に近いオーストラリアでは、野党労働党捕鯨監視の必要を訴えるなど、調査捕鯨への風当たりが強まっている。

http://sankei.jp.msn.com/world/america/071120/amr0711200928001-n1.htm


今年の調査捕鯨で日本が対象にザトウクジラを加えたことで、反捕鯨国の反発が再び強まっているようです。
日本に対する国際的な批判は色々ありますが、この捕鯨問題に関しては、一般市民の感情的な反発が元になっているという点で、慰安婦問題における反発に似ているように思います。日本と安全保障面での関係が強いアメリカ、、オーストラリア、イギリスといった国が批判の中心である点も、慰安婦問題に似てますね。違うのは、中韓が加わっていないことくらいでしょうか。
一方日本においても、捕鯨問題については、長年欧米の批判を受けるうちに、「日本の食文化を守れ」といったナショナリズム的な反発が強まっているように思います。そろそろ保守論壇が本格的に取り上げるのかもしれません。
この両者の主張がぶつかると、欧米の感情論vs日本のナショナリズムという、慰安婦問題の時と同じ構図となり、外交の錯乱要因となるように思います。
先の日米首脳会談ではインド洋の海自派遣問題ばかり注目されましたが、案外この捕鯨問題についても突っ込んだ話し合いがあったのかもしれませんね。


福田首相にとっては降ってわいたような外交問題ですが、こういう突発的で解決しにくい問題をうまくこなせるかどうかで、本当に冷静な宰相なのかどうかが判断できると思います。穏健な落としどころとしては、ナガスクジラとザトウクジラの調査捕鯨は自粛するというところでしょうか。


あと、こういう感情論がはびこる問題は、国際政治や経済に基づいた冷静な分析を専門家にやって欲しいところです。国際政治面については雪斎先生、経済面については山形浩生氏に取り上げて欲しいですね。(他力本願モードw)