Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

麻生太郎氏の年金改革案

今月の中央公論に、麻生太郎氏が「消費税を10%にして基礎年金を全額税負担にしよう」という論文を出しています。
消費税増税と聞くと僕はまず景気への影響が気になるのですが、この論文によると、消費税を10%にする代わりに基礎年金の保険料を全廃することで、景気への影響は抑えられるという考えのようです。
ただ、一つだけ気になるのは、基礎年金の企業負担分も消費税で賄うとされていることです。麻生氏は企業に対して、廃止された基礎年金の企業負担分は賃上げに回して労働者へ還元して欲しいと要望していますが、企業がそのような行動をする保障はないので、この点は甘いと思います。もし企業が企業負担分を賃上げに回さなければ、労働者から企業への所得移転となってしまい、消費が落ち込んでしまうでしょう。
それを回避するためには、少なくとも当面の間は、基礎年金の企業負担分を法人税に置き換えて、基礎年金の財源の一部とし、その分消費税の増税幅を抑えるべきでしょう。この法人税の上乗せ分をどうするかについては、将来の税制改訂の議論に委ねるべきで、基礎年金の全額税負担と同時に行うのはまずいと思います。
それを除けば、麻生氏の主張は景気への配慮もあるものであり、景気への配慮を欠いた財務省自民党増税派の消費税増税論議と同一視するのは好ましくないと思います。