Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

民主党の愚行の源

日銀人事の件は、少しでも経済や政治に関わっている人であれば、民主党の行動、特に「財金分離」を否認の理由としたことについて、批判せざるを得ないでしょう。
このような民主党の行動について考えているうちに、現在の民主党の原点と言うべき細川非自民連立政権について、麻生太郎氏がこんなことを指摘しているのを思い出しました。

思い返せば細川内閣の時も、小選挙区制導入の政治改革を優先し、予算の成立が7月にずれこんだことがありました。その結果、経済政策が大幅に遅れて大不況に突入した歴史があります。

麻生太郎オフィシャルサイト 「嘉麻の里」2007年12月号『 大 連 立』



小選挙区制が導入された1994年というと、バブル崩壊後の不況が深刻化していた時期です。そのような時に細川政権景気対策よりも「政治改革」という名の選挙制度いじりに熱中していたことになります。
現在、国際的な金融危機やデフレ問題よりも「財金分離」という建前論に熱中している民主党と、このときの細川政権の姿は、僕には二重写しに見えます。


このような目先の問題よりも建前論に熱中する傾向は、かつて石橋湛山が語ったこの言葉を連想させます。
(この言葉は韓リフさん(id:tanakahidetomi)のブログからの引用ですが、元の記事にアクセスできないので、ここではbewaadさんの記事から引用します)

記者の観るところを以てすれば、日本人の一つの欠点は、余りに根本問題のみに執着する癖だと思う。この根本病患者には二つの弊害が伴う。第一には根本を改革しない以上は、何をやっても駄目だと考え勝ちなことだ。目前になすべきことが山積して居るにかかわらず、その眼は常に一つの根本問題にのみ囚われている。第二には根本問題のみに重点を置くが故に、改革を考えうる場合にはその機構の打倒乃至は変改のみに意を用うることになる。そこに危険があるのである。


社説「改革いじりに空費する勿れ」(@東洋経済昭和11年4月25日付)(via 「リフレと左翼:石橋湛山山形浩生」(@Economics Lovers Live11/26付)

archives of bewaad institute@kasumigaseki(2005-11-28)



かつて細川政権が目前の不況を無視して「政治改革」という「根本問題」に囚われたのも、今、民主党金融危機やデフレ問題を無視して「財金分離」という「根本問題」に囚われているのも、この石橋湛山の指摘の表れなのでしょうね。細川政権政権成立から現在の民主党まで15年の時が流れても、そこに属している人たちの性向は全く変わってないのでしょう。このような人たちは、「失われた15年」から何も学ばなかったんでしょうね。