Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

WaiWai問題

「ファーストフードで女子高生が性的狂乱状態」「防衛省の『ロリータ』漫画キャラクターで内実が明らかに」――なんと毎日新聞の英語版サイトでこんな驚くべき記事が配信されていた。中には「六本木のレストランで豚を獣姦し、その後食べた」という、目も当てられなくなるような「変態ニュース」もある。これらの記事は国内だけでなく、海外のネット上でも話題になっていた。


「2ちゃん並というか、2ちゃん以下だな」「毎日ひでえな」


毎日新聞の英語版ニュースサイト「Mainichi Daily News」にあるコーナー、「WaiWai」が過去に配信した記事に、こんな指摘がインターネット上で相次いでいる。

毎日新聞英語版サイト 「変態ニュース」を世界発信 : J-CASTニュース

毎日新聞社の英語版サイト「Mainichi Daily News」は2008年6月21日までに、過去に配信した記事に不適切だとの批判が相次いだとして、これらの記事を配信していたコーナーを閉鎖した。


同サイトの「WaiWai」というコーナーでは、 「ファーストフードで女子高生が性的狂乱状態」と題された記事や、「六本木のレストランで豚を獣姦し、その後食べた」といった内容の記事を過去に配信しており、インターネット上で批判が相次いでいた。

毎日新聞英語版 「変態ニュース」コーナー閉鎖 : J-CASTニュース

毎日新聞社は2008年6月23日、同社の英語版ニュースサイト「Mainichi Daily News」が過去に配信した記事に「低俗すぎる」「日本を貶めた」などの批判が相次いだとして、日本語と英語による「お詫び」を同サイトに掲載し、デジタルメディア局長などを厳重に処分すると発表した。


J-CASTニュースの2008年6月20日の記事「毎日新聞英語版サイト 『変態ニュース』を世界発信」でも報じた通り、「Mainichi Daily News」の「WaiWai」というコーナーでは、「ファーストフードで女子高生が性的狂乱状態」と題された記事や、「六本木のレストランで豚を獣姦し、その後食べた」といった内容の記事を過去に配信していた。これに対し、同社には「このような記事を英語で世界に発信した影響をどう考えるのか」「日本が誤解される内容を広めているではないか」といった批判が08年5月下旬から寄せられていた。同社はこの時点で記事に問題があったと考え、これらの記事を削除したほか、検索サイトにも問題のある記事について非表示にするよう要請していたという。

「低俗過ぎる記事」で毎日新聞が謝罪 関係者を処分 : J-CASTニュース



毎日新聞の英語版ニュースサイト「Mainichi Daily News」に「WaiWai」というコーナーがあったのですが、その内容が日本の三流ゴシップ誌から俗悪な興味本位の記事ばかりを取り上げた内容であり、日本を貶める内容だとして批判が相次いでいました。
記事のタイトルと内容については「トップページ - 毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - アットウィキ」の「毎日新聞英語版から過去に配信された記事」の項目にまとめられていますが、確かにひどいものが多いですね。


トップページ - 毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる まとめ@wiki - アットウィキ


実はこのサイトについては以前に「Mozuの囀」さんで紹介されていたのを読んでいたのですが、Mozuさんもおっしゃるとおり、日本の週刊誌ジャーナリズムについて知識がない外国人が、「毎日新聞」という「一流紙」のページにこんな内容が載っているのを見れば、本当かもしれないと考えても無理はないですね。そして、日本が変態国家であるという印象を受けてしまうわけです。
逆に日本のことを知っている外国人は、日本が変態国家でないことは分かってますから、こんな報道を繰り返す毎日新聞をイエロージャーナリズムだと判断するのでしょうね。

毎日新聞のサイトの日本語版と英語版の間の差異について考え込んでしまうこと、それはネットにおける日本関連情報の発信構造について多少の関心をもったことがある人のほぼすべてが経験した事柄でありましょう。そしてなぜこんなことになるのか疑問に思って、どういう編集になっているのだとメールを送ってみたものの、無回答であるという経験をしたことがある人も相当数にのぼることもわざわざ付け加えるまでもありません。そしてこの有名な話が日本語の世界の方ではタブーかなにかのようにあまり語られないという事実は日本ネット界の七不思議の一つといってもいいかと存じます。


この毎日新聞英語版とはなんなのかという問題をめぐってはこれまでに英語圏では考察がなされてきましたが、特に焦点になっているのがいわゆる WaiWai問題と呼ばれるものです。先に述べましたようにグーグルと毎日とが結託しているのかなどと邪推したくなるほど(ええと冗談ですよ、もちろん) この問題について日本語で言及している事例がヒットしないわけですが、WaiWaiというのはRyann Connellなる人物が日本のタブロイドから刺激的なエロ記事ばかりを「クリエイティヴに」翻訳して紹介するという趣向のコーナーです。


裏とりなどない創作記事がほとんどですからこれは端的にデマゴギーといっていいでしょう。それで問題なのはこれを読む読者の側に週刊誌リテラシーが必ずしもないという点です。つまりこれを事実として受け止めてしまう人が多いわけです。さらに問題なのは毎日新聞は記事の責任を負わないと明言し、この Connellなる人物もこれはただの翻訳なんだと開き直っている点です。つまり日本を代表する新聞が責任を放棄した上でデマを流しているという状況です。


なにをそんなに真面目になっているのだと思われるかもしれませんが、そして実はあまり真面目になっているわけでもないのですが、この放置された状況がいかに日本に関する情報を歪めているのか、英語圏との人間とのコミュニケーション上の摩擦の原因になっているのかを考えると、毎日新聞英語版問題というのは、ここでは言及しませんがJapanTimesをめぐる問題と同様に、あまり過小評価しないほうがいいような気もします。

毎日新聞英語版は誰にハックされているのか: Mozuの囀



J-CASTニュースの報道で広く問題が知られるようになった途端、毎日新聞WaiWai閉鎖と関係者の処分という行動に出たわけですが、そうなるとこれまで毎日新聞は、自社のサイトの内容をきちんとチェックしていたのかという疑問が出てきますね。毎日新聞がどんな編集方針やイデオロギーを持っていようが、WaiWaiの内容が毎日新聞の名を汚すものでしかないということは、一目見ればはっきり分かるはずですから、きちんとチェックしていれば放置するはずがないでしょう。
WaiWaiが閉鎖されて、新たな記事が書かれることがなくなったのは歓迎すべき事ですが、今後、WaiWaiの過去の記事を根拠に日本を誹謗中傷する発言が出たときは、毎日新聞をイエロージャーナリズムと決めつけることで日本の名誉を守るしかないんでしょうか。毎日新聞も馬鹿なことをしたものです。