Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

小泉元首相引退雑感

 小泉純一郎元首相(66)は25日、次期衆院選には立候補せず、政界を引退する意向を明らかにした。小泉氏は01年から約5年5カ月にわたって首相を務め、郵政民営化の実現など構造改革を推進。今回の自民党総裁選では、支持した小池百合子元防衛相が麻生首相に大差で敗北した。構造改革路線への批判が強まるなかで引退を決断したと見られる。小泉氏の引退は総選挙の動向や選挙後の政局にも影響を与えそうだ。

http://www.asahi.com/politics/update/0925/TKY200809250298.html



このニュースにはびっくりしましたが、考えてみるとそういう時期なのかなという気もしますね。
次の総選挙で麻生政権になろうが小沢政権になろうが、小泉「構造改革路線」はここで終わるだろうし(この先「構造改革」が復活したとしても、それは別の人の名前を冠することになるでしょう)、自民党の改革派がいつまでも「小泉純一郎」のネームバリューに頼っているのも、そろそろ止めさせるべき時期でしょうから。


小泉政権というと「構造改革」が代名詞ですが、僕から見ると本当の功績は別のところにあるのではないかと思います。
経済政策では非不胎化政策を伴う為替介入でマネーサプライを増やして、就任当初の深刻なデフレ不況から一応脱却させた(デフレそのものが終わったかは疑問ですが)ことが最大の功績でしょう。あと、小泉政権下で高橋洋一氏が見いだされ、今後の改革路線の道筋を示す存在に成長したことも、今後は評価されるのではないかと思います。
外交政策では、小泉首相靖国神社にこだわった結果、中国の反日運動が暴走し、中国政府に反日運動の弊害を知らしめたのが一番の功績でしょう。これまで中国には反日運動の歯止めがなかったわけですから、歯止めが出来たことがそれ以降の日中関係の安定化に与えた影響は大きいでしょうね。あと、拉致問題にこだわった結果、北朝鮮の異常性を日本中が認識したことも大きいと思いますし、イラクやインド洋への自衛隊派遣で日米関係を安定させたのも大きな功績でしょう。


ただこうやって考えてみると、小泉政権の功績は「瓢箪から駒」の側面が強いようですね。これもまた「強運」の一面なのでしょうか。


逆に小泉政権の弊害ですが、デフレを完全に終わらせることはできず、景気を十分に回復できなかったことでしょうね。今騒がれている「格差」の問題も、景気が十分回復していればもっと小さくて済んだと思いますし、解決も簡単だったでしょう。あと、予算を絞る余り、医療や教育にしわ寄せが来てしまったのも弊害の一つでしょうが、これについても景気を十分に回復できなかったことが影響を与えているのでしょう。
外交面では、あまり大きな弊害はなかったと思います。


あと、最近になって思うのですが、小泉首相が2006年に退陣したことは正しかったのでしょうか?2005年の郵政選挙自民党が大勝したのは小泉首相への支持を示したものですから、それから1年で退陣するというのは、民意を無視していたのではないかという気がします。せめて今年くらいまでは続けて欲しかったところです。