Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

政権交代の最大の理由

今回の政権交代については色々な意見がありますが、僕はこの数字ほど自民党が見放された理由を見事に示しているものはないと考えています。*1

日本のGDPデフレーターは、1995年からほぼ一貫してマイナスである(参照)。名目GDPは2007年までで見ても約20兆円(伸び率は4%)しか増えていない。


1995年から2008年までの日本の成長率は名目で0.3%(14年間で2.5%の伸び)、実質で1.2%(14年間で16.0%の伸び)となっている。一方、同期間の日本を除くG7の6ヶ国の平均成長率は、名目で4.4%(14年間で75.2%の伸び)、実質で2.3%(14年間で34.2%の伸び)となっている。仮に日本がこの成長率を達成できていた場合、名目GDPは860兆円(実際との差は353兆円)、実質GDPは670兆円(実際との差は114兆円)まで伸びていたことになる。


同期間の日本の一人当たり成長率(購買力平価ベース)は平均3.3%(14年間で52.1%の伸び)で、G7で下から2番目である(最下位はイタリアの3.2%)。日本を除くG7の6ヶ国の平均は3.9%(14年間で65.2%の伸び。イタリアも除けば68.5%)となっており、仮に日本がこの成長率を達成できていた場合、一人当たりGDPは37,094ドル(実際は34,100ドルで、その差は2,994ドル)まで伸びていたことになる(参照。こちらに一覧表)。

http://d.hatena.ne.jp/nyanko-wonderful/20090908/p1



10年以上の期間で見て、他の先進国と比べてここまで成長率が低ければ、自民党が見捨てられたのも当然という気はします。民主党にとっては、その轍を踏まないことが、政権を維持するために最も大事なことでしょう。


そして日本がこうなってしまった理由ですが、僕は金融引き締めにこだわりすぎる日銀と、財政再建にこだわりすぎる大蔵省・財務省が、いつも金融政策と財政政策を出し渋ってきたせいだと考えています。
構造改革が足りないからだと言う人もいるでしょうが、他のG7諸国と比べて日本の改革努力が劣っていたかというと、そこまで何もしてなかったとは僕には思えません。
だから、民主党政権が成功するためには、いかにして日銀と財務省の力を抑えて、景気回復や経済成長に必要な金融政策と財政政策をやらせるかが鍵になると思います。


もしそれができなければ、この記事の最後にあるこの言葉が現実になるのでしょう。*2

日本の隣国である中国、韓国、台湾の成長率も載せておこう(参照)。名目GDPは2009年中に中国に抜かれるのが確実視されているが、このままいけば、一人当たりGDPも韓国と台湾に抜かれてしまうだろう。

http://d.hatena.ne.jp/nyanko-wonderful/20090908/p1

*1:id:nyanko-wonderfulさん、良い記事をトラックバックしていただき、ありがとうございます。

*2:もしこれが現実になったら、日本が戦後築き上げてきたプライドはずたずたに引き裂かれるでしょうね。