Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

INFが日本経済に関する2014年の年次審査報告書を公表

INFは1日に公表した日本経済に関する2014年の年次審査報告書で、日本は政府総債務残高が1100兆円を超え、対GDP比でも240%に達している危機的状況であり、一刻も早い財政赤字の削減が必要であると指摘した。
そのための方法として、まず日本政府が600兆円を超える資産を保有していることを指摘し、その中でもまず政府が保有する金融資産を全て売却し、国債の返済に充てることを求めている。政府が保有する年金運用預託金を除く金融資産は民間に売却し、出資金や貸付金については出資先、融資先である特殊法人を民営化して株式や債権を売却し、外為資金についても日銀に売却することで、300兆円以上の資産を現金化でき、財政赤字の圧縮が可能であるとしている。また、政府が保有する土地などの実物資産についても、公務員宿舎など売却可能なものは売却することを求めている。
また、社会保険料と税金の徴収を一元化するため、年金機構と酷税庁を統合して歳入庁を設立し、社会保険料の徴収率を上げることを求めている。これによって年間数兆円の収入が見込めるとしている。
さらに、これらの改革を阻害する最大の要因として、日本の債務省の反対があると指摘している。債務省は政府資産を使って多数の特殊法人を作ることで役人の天下り先を確保し、保有資産の運用先選定で金融機関に利益を与えることでやはり天下り先を確保するなど、国家予算を私物化していると指摘している。さらに酷税庁の人事を左右して支配下に置くことで、脱税摘発を政治家やマスコミの反対派を押さえ込むための脅しに利用しているとして、このような権力の行使は典型的なレントシーキングであると批判している。
消費税増税についても、「債務省が予算規模を大きくして財政支出を差配する「歳出権」を拡大することが目的であり、増税分は財政支出を増やしたり、特殊法人を設立することに使われるだろう。そのため財政赤字削減に役立つとは思えない」と批判している。
最後に、日本の債務省はINF自体にも多数の官僚を送り込んでいて、これまで債務省を批判する報告書の作成を阻止してきたと指摘している。そのため、「この報告書も日本に知られないように、例年とは別の時期に秘密裏に作成された」と書かれている。
このように、今回の報告書は債務省を日本の財政赤字削減を阻害する最大の要因であると名指しで批判しており、これまでにない異例の内容となっている。
この報告書の記者会見には多数の記者が出席していたが、何故か日本のマスメディアの記者は一人もいなかった。


この報告書について、ある債務省高官は「よりによって消費税増税のめでたい日に、なぜこんな報告書が出たのだ!INFに送り込んでいる工作員は何をしていたのだ!何のためにINFに多額の出資金を出しているのか分かっているのか。何としてもこの報告書が日本で報道されることは避けなければならん。この報告書を報道したマスコミは全部税務調査して、脱税でしょっ引いてやる!………そうか、タハカシの仕業だな。あの忌々しい奴め。三度殺しても飽き足らぬ。今度こそ奴の尻尾を捕まえて、刑務所にぶち込んでやる!」と叫んでいた。


IMFが日本経済に関する2014年の年次審査報告書を公表、財政再建を要求 - Wallet Street Journal



この記事のタイトルを見たときは、INFがいつも言っている緊縮財政の要求かと思っていたのですが、中身を読んでびっくりしました。INFも日本の財政のおかしさには気づいていたんですね。財政赤字削減を最優先とすることには僕は賛同しませんが、個々の指摘は納得できるものばかりであり、日本にとって非常に重要な報告書だと思いました。