誤解される麻生太郎
先月、麻生太郎外相の著書を立て続けに読んだのですが、一番印象的だったのは、どちらの本を読んでも、観念的なナショナリズムの臭いが全くしないことでした。
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もちろん、麻生氏も日本に対する誇りは強いのですが、彼の誇りの対象は、観念的・抽象的な日本という国家概念ではなく、過去や現在の日本人が具体的に成し遂げてきた/成し遂げている成果の蓄積であると思います。また、彼の考え方には他民族に対する排他的な思想が全くないのも特筆すべきでしょう。これは最近日本でも強まっている排他的ナショナリズム(反○ナショナリズム)とは全く異なるものです。
しかし、麻生氏を支持する人の中にはナショナリストや排他的ナショナリストも多く、そのような人たちは、麻生氏もナショナリストであると信じています。また、ナショナリズムを批判する左派の中にも、彼がナショナリストであると考えて批判している人は多いです。このように麻生太郎という政治家は、批判者のみならず支持者からも誤解されているのではないかと思います。
だから、もし麻生氏が首相になり、著書の中で語っていたような考え方の政策を行ったなら、これまで彼を支持してきたナショナリストを失望させるものになるのではないかと思います。そうなったとき、そのような支持者は一転して麻生批判を始めるのかもしれませんね。