2018年を振り返って
あけましておめでとうございます。
昨年の正月には「今年はもう少し書いていこうかと思っています」と言ってましたが、結局1年間ブログを書かずに過ごしてしまいました。申し訳ありません。
昨年は個人的に大きな出来事があり、経済学への関心も薄れがちになっていたため、ずるずると書かずに済ませてしまいました。
それでも昨年の日本経済を振り返ってみると、インフレ目標2%は達成できなかったものの、失業率は2%台前半が続き、景気は大きく回復しました。
ただし、海外では貿易戦争やFRBの金利引き上げによる、アメリカや中国の景気後退が懸念されており、予定通り今年10月に消費増税(2%)が行われた場合、これらの要因と相まって再び景気が悪化するのではないかと懸念しています。
昨年、日銀副総裁を退任した岩田規久男氏の「日銀日記」を読んだのですが、岩田氏も2014年の消費増税(3%)がリフレレジームを壊した結果、リフレ政策が十分効果を発揮できなかったと書いていました。もしあの増税がなければ、今頃はインフレ目標2%を達成できていたと思います。返す返すもあの消費増税が悔やまれてなりません。
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今年10月の消費増税では様々な増税対策が行われる予定で、軽減税率も導入される*1のですが、それでも景気へのインパクトは大きなものがあるでしょう。増税対策を行うくらいなら、消費増税を凍結するのが一番大きな対策だと思います。
ただ、最近、消費増税を決めた野田前首相や、デフレ政策を行った白川前日銀総裁のインタビュー記事が出てましたが、彼らには間違った経済政策で日本経済をダメにして、国民の生活や国力を衰退させたことへの反省は、全くないようです。間違った考え方に囚われると、どれだけ批判されても、自分の政策が間違った証拠を現実に突きつけられても、全く動じなくなるんですね。
また、平成時代は経済全体の状況を無視して、消費増税、緊縮財政、金融引き締めなどで、財政再建や「円の信認」だけを追求した結果、日本の名目GDPがほとんど伸びず、その結果税収も伸びずに財政再建もできなかった時代でした。しかし、未だにそれを理解できず(あるいは理解しようとせず)、30年前と同じイデオロギーを唱えている記事もあります。消費増税に固執する財務省が日経に書かせた記事なのでしょう。
平成時代というのは、まさにこのような間違った考え方のために「平に成って」しまった時代だったと思います。
考えてみれば、リフレ派は平成時代の間、ずっとこのような考え方を持つ官僚(特に大蔵省・財務省と日銀)、マスコミ、経済学者、政治家と戦っていたのでした。岩田規久男氏と岡田靖氏が、日銀によるマネーサプライの急速な減少を批判して、岩田氏と日銀の翁邦雄氏との間で「マネーサプライ論争」が起こったのは1990年代前半です。これがリフレ派の始まりだったと言って良いでしょう。岩田氏が日銀副総裁になる前に、当時のことを学習院大学を退官されたときの最終講義の場で語っています。
これについては、過去にこのブログでも取りあげていました。
次の元号の時代は、このような緊縮主義に基づく経済政策を払拭して、日本が再び成長を取り戻す時代に成って欲しいと思っています。そのために、まだまだリフレ派の戦いは続けなければならないのでしょう。
*1:軽減税率は税制を複雑化したり、利権として使われるので、私は否定的なのですが、それでもある程度の負担軽減効果はあるでしょう。