Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

日経イデオロギーw

「溜池通信」の日記コーナー「かんべえの不規則発言」を見ていたら、かんべえさん(吉崎達彦さん、最近はサンプロのメンバーでもあります)が日経新聞の社説に突っ込んでいました。

〇今日の日経の社説が痛ましいほどに面白い。下記の表題を見てワシは悶絶してしまった。


社説 賃金出し惜しみの構造どう脱するか(11/27)


〇ホントにこれが日経の社説かよ、と思うような文章で、論説委員の皆様方もかなり苦しんでおられるようである。悪いものでも食べて、おかしくなったんじゃないといいのですが。まず出だしはこう。


 「いざなぎ景気」を超えて4年10カ月続いた景気拡大をこのまま持続できるかどうか。米国経済の減速などで輸出環境の先行きが怪しくなる中で、個人消費の動向が注目されている。しかし一向に火がつく気配がない。マクロ的に見て企業業績が好調な割に、賃金があまり上がらない点に基本的な問題がありそうだ。


〇企業部門から家計部門にカネが回ってないじゃないか。と、ここまではよくある話で、誰もが言っていることである。


企業は危機的な状況を乗り切るために、様々な方策によって賃金を抑え込んできた。当然の対応だったわけだが、結果的に、賃金を出し惜しむ構造が根付いたようにみえる。


〇おいおい、労働分配率を下げないと、国際競争力が回復しないと言ってたのは、日経さんじゃありませんか。


労働分配率は景気に遅れて上がる傾向があるので、これから振り子が戻るように雇用者への分配が高まってもおかしくないが、そうは簡単にいかない理由がある。まず「春闘」崩壊後、それに代わる賃金決定の方式が確立していないことだ。


〇たしか、「春闘無用論」も日経はサポートしてたんじゃなかったでしょうか。


02年春、業績好調のトヨタ自動車が国際競争をにらんで、労働組合のベースアップ1000円の要求をゼロに抑えたのが決定打となった。追随する動きが相次ぎ、主要企業が横並びで賃上げして中小企業に波及させる春闘方式は事実上消滅した。


トヨタの堅実経営を礼賛する記事も、たくさん読まされたような気がしますなあ。


経営者の姿勢もかつてとは一変した。従業員共同体のトップという性格がまだ強かった90年代前半には、旧日経連が「ベアゼロ」方針を掲げると、反発する経営者がいたほどである。現在は存在感を増した株主、投資家に顔を向け、株主への利益配分を重視するように変わった。


〇これも笑止千番でございます。株主重視経営をやれと、日頃から口をすっぱくして言っておられるのはどこの誰ざんしょ。


しかし国際的な大競争の中で、個々の企業にとっては合理的であっても、それが全体となると構造的に過少賃上げになりかねない。好業績の主要企業の経営者は現状に安住せず、自社および産業全体の賃上げのあり方を見直すべきである。


〇正論かもしれないけど、アンタにだけは言われたくないなあ。先週の「月例経済報告」が出てから、一気にこの手の議論が噴出してきた感がありますが、ちょっと軌道修正が見苦しくないですか? 


http://tameike.net/comments.htm (11/27の日記)


こうやってまとめてもらうと、これまで日経新聞が家計部門にカネを流さないことを徹底的に主張していたことがはっきりしますね。そしてそれが景気回復の障害となっていることも。
こんな異常なイデオロギーを主張している新聞が代表的な経済紙と見なされていることも、日本の不幸の一つなのでしょうね。w