ホワイトカラー・エグゼンプション(WE)をワシも考えてみる
id:arnさんやid:kuma_assetさんがホワイトカラー・エグゼンプション(WE)についての考察をされているので、僕も自分なりに考えてみました。
A.R.N 日記 続・ホワイトカラー・エグゼンプションの経済学
業績・成果主義とホワイトカラー・エグゼンプションについて - ラスカルの備忘録
労働者側と雇用者側について、残業を行う/行わせるインセンティブとディスインセンティブを挙げてみると、次のようになると思います。
- 労働者側
- インセンティブ
- 残業代による収入の増加
- 成果を上げることによる社内待遇の向上、解雇の可能性の減少
- ディスインセンティブ
- 残業時間による自由時間の減少
- インセンティブ
- 雇用者側
- インセンティブ
- 労働時間増による収入の向上
- ディスインセンティブ
- 残業代支払いによる人件費の増加
- インセンティブ
残業代を支払う制度では労働者側、雇用者側双方にインセンティブとディスインセンティブがあるわけですが、サービス残業が広く行われていることを考えると、労働者側にとって「成果を上げることによる社内待遇の向上、解雇の可能性の減少」のインセンティブが「残業時間による自由時間の減少」によるディスインセンティブよりも大きいと推測されます。
この状態で残業代をなくしてしまうと、労働者側、雇用者側とも残業によるインセンティブがディスインセンティブを上回ってしまいますので、残業増に歯止めがかからなくなると考えられます。
これを避けるには、企業は残業代を支払うが、それを労働者が受け取るのではなく、国が受け取る事が考えられます。言い換えれば、企業は残業代に相当する金額を税金として負担するわけです。
この場合、企業には労働時間をごまかして税金を低くしようというインセンティブが出来ますが、これは脱税行為となりますので、国税庁の努力で低減させることができるでしょう。企業にとっては、労働組合や労働基準監督局よりも、国税庁の方が手強い相手ですしね。
さらに一歩進めて、労働時間の申告を企業ではなく、労働者個人や労働組合が行うことも考えられます。そうなると労働者側の強力なしに企業が労働時間をごまかすことは困難となりますので、過重労働の摘発が進めやすくなるでしょう。
なお、徴収した税金は労働時間増加が社会に与える悪影響を緩和する政策、例えば少子化対策や教育の支援に使うのが筋でしょう。
国が本当に労働時間の増加を大きな問題として考えているのであれば、ホワイトカラー・エグゼンプションのような逆効果のある制度ではなく、このくらいのことはやって欲しいものです。