新聞の特殊指定見直し問題−見直し賛成の意見
新聞の特殊指定見直し問題で一番異常なことは、一方の当事者であるはずの公取委の意見が「全く」報道されないことです。
「マスコミ不信日記」によると、このことについては公取委の竹島委員長も国会質疑の中で「公取委の言い分が全く報道されない」と批判しているそうです。
「マスコミ不信日記 : 【活字利権】安倍官房長官、某新聞の特殊指定違反を皮肉る
さて、このようにマスコミでは全く報道されない見直し賛成の意見ですが、公取委サイトに載っている「独占禁止懇話会第173回会合議事概要(PDFファイル)」にはいくつか載っていますので、紹介してみます。
- 新聞業界が一所懸命にコスト削減の努力をしたのか疑問がある。例えば,早朝に各社で新聞配達を行っているが,共同で配達したらもっとコストが安くなるのではないか。あるいは,月が替わったときにそれぞれの会社の人が集金に向かわなくとも,振込制や共同で集金を行うことによりもっとコストが下がると思う。
- 例えば大きなマンションで100軒同じ新聞を買った場合は値引きはあってよいと思う。
- 今回の特殊指定の見直しは妥当であると考える。著作物再販協議会において,再販制の維持の中で弾力的な運用をして競争促進をどう図っていくかというのを議論しているが,やはり価格競争がなかなか起きなくて消費者利益が阻害されているのではないかといった議論がされている。長期割引や前払割引がないとか,何紙購入しても同じ値段になっているというような不合理があり,このままだと新聞離れが進んでいくのではということを危惧する。消費者利益を優先して今回の見直しを行っていただきたい。
- 新聞社にとって戸別配達制度は重要な戦略であるがゆえ,個別配達を本当に廃止した会社はシェアを奪われる。したがって,こういった戦略は各社とも維持し戸別配達は維持されていくものだろうと思う。もしそういったことが不可能ということであれば,そのコストを外出しすればよいわけで,新聞料金いくら,配達料金いくらということにすればいい。戸別配達が国民にとって重要であれば,新聞社が戸別配達をやめてもそれを請け負う事業は必ず出てくるので,経済学的にみても新聞特殊指定と戸別配達を結びつけるのは難しいと考える。
- 新聞特殊指定をほかの特殊指定と同じように廃止すべきである。昭和30年当時は新聞本社が激しく競争しているという状況であったが,今は販売各社が競争を行っておらず状況は全く違う。定価は法律で維持するのではく,民民の契約で維持すればよい。再販制度の下でもそれぞれが工夫して競争してほしい。
- 昭和30年からの長い歴史のなかで独禁法の理念が変わってきた。以前は消費者は弱いもので公権力が保護しないといけないものであったが,最近の消費者は賢くなった。そしてより厳しい経済状況の下でコストに対する感覚が鋭くなった結果,新聞の流通システムに違和感を持つようになったと思う。新聞特殊指定というのは販売店が合理的なコスト計算に基づいて値引こうと思っても,公権力によって拒否されるものであり,これはやはりおかしいことだと思う。再販制度で本当にそういうことができないのであれば,別途の制度で考えればいいと思う。
- 特殊指定の維持は反対である。なぜ,新聞だけがという考えがある。ネットと新聞がなぜ競争できないのか。質と価格は別問題と考える。値引きをしてはいけないといっているが,1 年のうち何か月かは無料という事例もある。現実はもっと先をいっているので,新聞業界のいうことは違うのではないか。
- 新聞特殊指定の見直しに賛成である。グローバル化の中で日本の新聞業界も競争力を強化する必要がある。インターネットや海外からのマスコミの参入を考えると,競争力を発揮できる自由な環境を創るのが大事である。読者,消費者のことをもっと考慮すべきだと思う。日本の特殊性もあるが,公取に対しては,アメリカやドイツ,イギリス,フランス,カナダ,イタリア等の他の先進国の新聞の在り方,国際レベルでの新聞の在り方の検討視点を考慮していただきたい。
経済における自由競争に賛成な方であれば、納得できる意見が多いと思います。僕も非常に妥当な意見だと思います。
もし新聞に絡む問題でなければ、新聞にだってこのような意見はいくらでも載ると思うんですけどね。w