Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

財務省が財政と金融の連携を求めるのなら

民主党が、前財務省財務官の渡辺博史一橋大大学院教授の日銀副総裁就任に同意しなかったことで、財務省の面目は完全につぶされた。元副総裁の武藤敏郎氏、国際協力銀行総裁の田波耕治氏という2人の事務次官経験者の総裁就任を覆された財務省にとって、渡辺氏は日銀への影響力を保つための切り札。財務省の打撃は大きく、政府内の影響力低下は避けられそうにない。


 「国際的な人脈の広がりを持ってるし、国益のため活躍してくれると思って送り込んだのに。まことに残念だ」。渡辺氏の不同意に対し、額賀福志郎財務相は8日夜、記者団に憤慨した表情で語った。財務省出身者の日銀入りの可能性はほぼ断たれ、財務省の落胆が広がっている。


 そもそも渡辺氏の副総裁起用には、鳩山由紀夫幹事長をはじめ民主党幹部にも容認論が広がっていた。それでも同意を得る確約が得られず、政府・与党執行部には渡辺氏の副総裁起用には慎重論も強かったが、「適切な経済運営には財政と金融の連携が不可欠」(財務省首脳)との判断から、渡辺副総裁の提示に踏み切った経緯がある。


 民主党が、財務省経験者を日銀首脳人事から排除するのは「財政と金融の分離」「天下りの排除」といった理由からだ。だが、それはあくまで建前。真意は長年保ち続けてきた自民党財務省との蜜月関係にくさびを打ち込み、財務省の弱体化を狙ったものとの見方が強い。


 予算編成権を持つ財務省は中央官庁を支配し、予算配分を武器に政治にも影響力を持ち続けてきた。自民党財務省を介して中央官庁や地方への影響力を保持し、持ちつ持たれつの関係を構築してきた。福田康夫首相は日銀首脳人事で財務省との関係を重視してきたが、結局は自らの調整力不足を露呈してしまった。


 「今回の一件をきっかけに、いくら優秀で能力のある人材でも『財務省出身』というだけで、活用されなくなる」。財務省内にはこんな見方も出始めており、官邸との関係にも影響が出ることは必至だ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080408/fnc0804082037020-n1.htm



今回の日銀政局で、財務省出身者の執行部入りをことごとく民主党に拒否されてしまった財務省ですが、その主張の中で「適切な経済運営には財政と金融の連携が不可欠」という点には、僕も賛同します。
ただ、これまでのように日銀執行部に財務省出身者を送り込むという手法が不可能となった以上、何か他の方法を考えるべきでしょう。
そのために最も有効な方法は、やはり中央銀行の「独立性」を金融政策の手段だけの独立として、金融政策の目標について政府と日銀と政策協定を結び、目標を共有することだと思います。
この手法は透明性という点でも、日銀執行部に財務省出身者を送り込む手法よりは優れていると思います。


今後も日銀執行部に財務省出身者を送り込めるという保証はありません。だから、財政と金融の連携を維持するためにも、財務省は政府と日銀の政策協定を支持して、日銀法改正の際にはそのような条文を盛り込むよう、政府や国会に対して要求して欲しいと思います。