Baatarismの溜息通信

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北京五輪聖火リレーの変質

【クアラルンプール】 北京オリンピック聖火リレーのクアラルンプールにおける出発地点であるムルデカ広場で21日午後、聖火リレー出発直前にチベット独立の旗を持っていた日本人3人家族が中国人らともみ合いになり、警察に保護されるという出来事があった。
「星洲日報」が目撃者の話として伝えたところによると、保護されたのは夫婦と男の子の3人で、外国のメディアの取材を受けた夫がバッグからチベット独立の旗を取り出そうとしたところを見物に来ていた中国人留学生が発見。3人は中国人の集団に囲まれ、罵声を浴びせられた上でプラスチックの棒で殴られるなどの暴行を加えられたという。警察が間に割って入って、まもなく3人を現場から連れ去った。またチベット独立を叫んでいた英国人女性1人がやはり、中国人と口論となり警察に連行された。
ムルデカ広場には中国人留学生ら1千人以上が集まっており、「台湾、チベットは中国のものだ」などと口々に叫んだり、愛国歌を歌ったりしていた。
聖火リレーは午後2時半ごろ、ムルデカ広場を出発し、16.5キロメートルの距離を80人の走者がつないで午後6時にペトロナス・ツインタワーに隣接するジャラン・アンパンに到着した。警察当局よると、リレー中にはトラブルは起きなかったという。
クアラルンプールでは18日には、中国政府が北京オリンピックを口実に法輪功に対する弾圧を強めていることへの抗議として数十人の法輪功メンバーが中国大使館前でデモを行う騒ぎが起きており、マレーシア警察は聖火リレーのコースに1,000人の警官を配備して、警戒を強めていた。
(星洲日報電子版、AP通信、4月21日)

404 Not Found | マレーシアナビ!

【4月21日 AFP】(一部訂正)北京五輪聖火リレーが始まったマレーシアのクアラルンプール(Kuala Lumpur)で21日、チベット旗を振っていたところ五輪の支持者らともみ合いになった日本人家族を、現地警察が保護した。
 警察幹部はAFPの取材に対し、リレーの開始時に「独立広場(Independence Square)でチベット旗を振っていた日本人家族とその子どもが、北京五輪の支持者らともみ合いになった」と述べた。
 事件を目撃したAFP記者によると、中国人が「台湾とチベットは中国に所属する」と叫びながら、日本人の夫婦と子どもをプラスチック製の棒で殴ったという。その後すぐに警官らが介入し、日本人家族を現場から連れ出した。
 また、クアラルンプール警察署長は、チベット旗を手に持っていた英国人女性1人を拘束したと述べた。

マレーシア警察、五輪聖火リレーで日本人家族を保護 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News



マレーシアのクアラルンプールで行われた北京五輪聖火リレーの際、チベットの旗を持っていた日本人家族が、中国人の集団から暴行を受け、現地警察に連行されたという事件がありました。
これまでの聖火リレーでは、中国側はあくまでもリレーの妨害者に対して妨害を阻止するために行動していただけであり、リレーを妨害していないチベット支持者が暴行を受けるという事件はありませんでした。しかし、クアラルンプールではそのような事件が起こってしまったわけで、これは中国側の姿勢が聖火リレーの防衛からチベット支持者の妨害と変質しつつあることを意味すると思います。


クアラルンプールでは警察当局の姿勢が明らかに中国寄りであったのと、チベット支持者の数が少なかったため、大きな騒動にはなりませんでしたが、これからリレーが行われるキャンベラと長野では事情が違うでしょう。
すでにこのクアラルンプールの件を教訓にして、チベット支持者側も暴行に対処するため、集団行動や自衛などの対策を考えているでしょうし、中には中国側に反撃する人も出てくるでしょう。
そうなると、中国側とチベット支持者側で大規模な衝突が発生し、これまでのように聖火リレーを人目に付かないところで行ったとしても、大騒動が発生してしまうことになります。


長野でも東京などから千人単位で中国人が現地入りするという話が流れてますし、ネットでは有志がチベット支持のため平和的にチベットの旗を掲げるという動きがあります。さらに右翼の街宣車も現地入りするという話もあるようです。
平和的にチベットの旗を掲げている日本人支持者に対して、中国人が暴行を加えてもみ合いとなり、そこに右翼が乱入するという事態になれば、混乱は必至でしょう。もちろん警察はそのような事態を放置できないので、暴力を振るった者全員を連行することになりますが、その中に中国人が入っていた場合、そのニュースは中国に伝わり、反日感情が爆発するでしょう。そうなると胡錦涛主席の訪日も吹っ飛ぶことになると思います。

 北京五輪開会式への不参加を呼びかけている市民団体「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)が、長野で26日に予定されている聖火リレーへの抗議活動のため来日を計画していることに、政府が頭を悩ませている。できれば混乱を回避したいが、入国を拒否する法的な根拠が見つからないためだ。

 RSFは、ジャーナリストのロベール・メナール氏らが85年に結成し、01年の北京五輪開催決定時から抗議活動を展開。3月にギリシャで行われた採火式では、メナール氏らが五輪の輪を手錠で描いた旗を掲げ、当局に拘束された。メナール氏らは長野でも横断幕を掲げるなどの抗議活動を予定しており、22日に日本に向けて出発するという。

 これに対し、日本政府は「平穏な目的とは考えづらい。なるべく来日は遠慮してもらいたい」(政府高官)として、入国を拒否できるかどうか検討に入った。

 政府関係者によると、入国の可否を判断する法務省に対し、首相官邸から「拒否できる合法的な理由を見つけるように」と水面下で話があったという。政府高官は「サミットも控えており、混乱は未然に防いで当然だ。報道や集会の自由への侵害と批判される理由はない」と主張する。

 だが、入管法の規定では、警察官に身柄を拘束された過去があっても、1年以上の懲役・禁固刑を受けない限りは「入国拒否理由」には当たらない。鳩山法相は22日の記者会見で「入国拒否は非常に例外的なこと。今のところ、その例外的なケースに当てはまるのではないか、との議論は出ていない」と語った。

 法務省幹部は「どのような目的で長野に行くのかなどの情報が少なく、判断しづらい」。同省は空港での入国審査で、メナール氏が計画している抗議活動が合法的なものかどうかを中心に審査し、最終判断する見込みだ。

http://www.asahi.com/politics/update/0423/TKY200804230003.html



福田首相は「国境なき記者団」による聖火リレーの妨害を阻止できないかと、ロベール・メナール氏の入国拒否まで考えているようですが、仮に彼の入国を拒否したところで、すでに「国境なき記者団」とは全く関係ないところで、混乱が発生する可能性が大きくなっていると思います。
いくら聖火リレーを厳重に守ったところで、それとは関係ないところで大混乱となる、もし長野で混乱が起こるとすれば、そんな状況になると思うのですが。