Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

潘基文の憂鬱

 日中韓の歴訪を終え、洞爺湖サミット出席のため札幌に滞在中の潘基文(パン・ギムン)・国連事務総長は8日、朝日新聞の単独会見に応じた。安全保障理事会の改革について「世界情勢の劇的な変化を考えれば常任理事国を含めた安保理拡大は絶対に必要だ」と述べ、日本がめざす常任理事国を含めた拡大を支持する考えを初めて表明した。


 安保理改革をめぐっては、常任理事国入りをめざす日本、ドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)が常任、非常任とも拡大するよう求めている。これに対し、G4の常任理事国入りを阻みたい韓国、イタリア、パキスタン、アルゼンチンなどコンセンサス連合は「拡大は非常任のみ」として対立。日本などは常任理事国拡大を選択肢に含めた政府間交渉入りを求めているが、同連合の反発で議論は平行線をたどっている。


 潘事務総長は、日本への対抗意識などを背景に常任理事国拡大を認めない母国・韓国と立場が異なることについて「私を韓国人だと思わないでほしい。かつては韓国外相として自国の立場を守ったが、いまは国連事務総長だ」と強調。「日本人はこの問題に関して私(の立場)に疑念を持っているようだが、誤解しないでほしい」と訴えた。


 一方、日本には「資金的、人的貢献の両方の拡大を求める」と要請。国連スーダン派遣団(UNMIS)への自衛官の派遣を改めて歓迎し、「自衛隊員の派遣は日本人にとって敏感な問題だと理解しているが、これがさらなる貢献のきっかけになることを願う」と語った。


 また日中韓の歴史問題についても言及し、「アジアの国々は不幸な経験をしたが、相互理解により未来志向で乗り越えてほしい」と結束と連帯を呼びかけた。(松下佳世)

http://www.asahi.com/international/update/0708/TKY200807080356.html


【城南3日聯合】潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が3日、事務総長就任後初めて訪韓した。潘事務総長は午後1時過ぎに京畿道城南市のソウル空港に到着し、韓昇洙(ハン・スンス)首相夫妻らの出迎えを受けた。
 タラップを降りた潘事務総長は、待ち受けていた人たちと握手を交わした後、「昨年1月に国連事務総長に就任してから18か月ぶりに慣れ親しんだ故国を訪れ、国民にあいさつすることができて非常にうれしく、感無量の思いだ」と訪韓の感想を語った。続けて、「韓国人の国連事務総長として韓国の国力伸張に貢献できるようベストを尽くす」と述べた。


 今回の訪問については、「韓国に新政権が発足し、朝鮮半島核問題が進展をみた発展の時期に訪問したことは非常に意味のあることだと思う」と強調した。滞在中の計画に関しては、李明博(イ・ミョンバク)大統領や韓首相をはじめ財界・政界・メディア関係者らと会い、国際社会における韓国の役割を拡大し、国連との協力を深められる方策を整えるため努力すると述べた。


 国際社会に向けた韓国政府の役割と関連しては、近ごろ国際社会が気候変動や食糧難、原油高問題に直面していると述べた上で、韓国政府は国力伸張と相応する国際的貢献をすべきだとの考えを示した。最後に、「韓国政府と国民の温かい声援にいつも感謝している」と述べ、あいさつを締めくくった。


 潘事務総長は5日間の日程で韓国に滞在する。同日には国連平和維持活動(PKO)に参加する東明部隊への派遣将兵、宇宙飛行士のイ・ソヨンさんらに会うほか、ソウル大学名誉博士号授与式に出席する予定だ。


 4日には李明博(イ・ミョンバク)大統領の表敬訪問、韓首相との面談、記者会見を、5日には故郷の忠清北道陰城郡訪問、清州大学で開かれる模擬国連総会への出席をそれぞれ予定している。6日には統一部の金夏中(キム・ハジュン)長官と朝食をともにし、7日午前に主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)が行われる北海道に向かう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080703-00000033-yonh-kr



日本では「私を韓国人だと思わないでほしい。かつては韓国外相として自国の立場を守ったが、いまは国連事務総長だ」と発言し、韓国では「韓国人の国連事務総長として韓国の国力伸張に貢献できるようベストを尽くす」と発言している潘基文国連事務総長ですが、国連事務総長というのは、例え出身国であっても特定の国に肩入れしてはいけない立場ですから、国連事務総長としては、日本での発言の方が本来守るべき立場でしょう。
ただ、潘基文氏も長年国際舞台で経験を積んだ外交官ですから、そんなことは分かっているはずです。となると、この発言については、潘基文氏の二枚舌を攻めるよりも、潘基文氏ですら「韓国の国力伸張に貢献」と言わざるを得ない、韓国社会のナショナリズムの方を批判したくなります。
潘基文氏も、こんな「分かっていない」祖国については、内心悩んでいるのでしょうね。日本の常任理事国入りを支持したことで、潘基文氏が韓国社会から「親日派」と糾弾されなければ良いのですが。BSEデモでも見られるように、韓国社会もネットの力で「私刑化」が進んでいますからねえ。