天皇陛下や英霊の権威を利用する人達
自民党の古賀誠元幹事長が先日の富田メモの信憑性を疑う意見があることについて、「とんでもない議論があるのは残念。昭和天皇や英霊に対してもそういう議論は許せない」と厳しく批判した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060730-00000028-jij-pol
どのような政治的立場であろうとも、資料の信憑性を調べるのは歴史学の基本だと思うのですが、古賀幹事長はそんな常識すら分かっていないようです。w
さらに古賀幹事長が問題なのは、言わば昭和天皇や英霊をダシにして批判を展開していることですね。富田メモの信憑性を疑う意見に不満があるなら自分の意見として言えば良いはずなのですが、わざわざ昭和天皇や英霊を持ち出して批判するのは、昭和天皇や英霊の権威を自分のために利用しているわけであり、非常に悪質な発言だと思います。
僕は前回のエントリーで靖国問題に関して、一方で靖国神社を批判し、その一方で首相の靖国参拝と絡めるようとする勢力も批判しました。あの記事を書いた後でさらに考えた結果、どちらも自分達の意見を正当化するために天皇陛下や英霊の権威を利用しているという点では同じ事ではないかという考えに至りました。今回の古賀幹事長の発言もその一例なのでしょう。
靖国問題については、分祀や新たな追悼施設の建設を主張する側にも、それに反対する側にも、多くの人を納得させるだけの論理はあると思います。しかしこのように天皇陛下や英霊の権威を利用して自らの正当性を強めようというやり方は、却って主張内容そのものの正当性を損なう結果になると思います。「主張だけでは反対派を説き伏せられないから、天皇陛下や英霊の権威を利用しているんだ」ということになってしまいますからね。
これからも靖国神社を巡る論争は続くと思いますが、このように天皇陛下や英霊の権威を利用するやり方だけは止めて欲しいと思います。それこそ冒涜でしかありませんから。