Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

韓国とファニーメイ、フレディマックの意外な関係

The deepening woes at Fannie Mae and Freddie Mac, badly stretched central bank reserves and a losing battle to support the won are pushing South Korea towards a full-blown currency crisis this month, analysts have said.


Heavy investment by the Korean Government in Fannie, Freddie and other US-related agency bonds has left a potentially huge liquidity problem - perhaps $50 billion (£27.4 billion) - in the foreign reserve portfolio. Some believe that Seoul might have no ammunition left to prevent a significant flight from the won. Fruitless currency intervention by South Korea - increasingly desperate-looking verbal and financial measures to fight the market trend - cost about $20 billion in July alone.

The Times & The Sunday Times


■英タイムズ紙、「韓国外為危機は『黒い9月』」と報道


イギリスの日刊紙タイムズが、韓国は外為危機によって「黒い9月」に向かっていると1日報道した。


タイムズ紙は、韓国がアメリカの国策住宅モーゲージ会社であるファニーメイとフレディーマックへの過度な投資と政府の外為危機管理の失敗によって憂慮が深まっている、と分析した。同紙は、韓国政府のファニーメイ・フレディーマック及びアメリカ関連債券への投資が約 500億ドルにのぼる流動性危機を呼んだ、と説明した。


複数のアナリストは、韓国には外為危機を阻止するために必要な弾薬がもはや残っていないと見て いる。成果なく虚しく終わった「為替防衛戦争」によって、今年7月ひと月だけで韓国政府が失った金は200億ドルに達するというのだ。


為替をもとの水準に戻そうとする韓国政府の努力は、高いエネルギー価格とインフレーションのため特段の成果をおさめられぬまま頓挫している状態だ。為替当局の介入努力も、先月為替が7%ポイント以上下落するのを阻止できなかった。ウォンは現在は44ヶ月連続で少しずつ下落している状態で、CLSA証券は、「韓国にはこれ以上ゲームを続ける能力が無い」との分析を示した。しかも状況は一層悪化しており、今月満期を迎える債券額だけで67億ドルにのぼると分析した。


現在、韓国の外貨準備高は2470億ドルで、IMFが勧める外貨準備高のマジノ線である3200億ドルを相当下回っている。同紙は、韓国の外貨準備高の大部分は政府債ではなくアメリカのモーゲージ債である点が最大の問題だとして、アメリカのモーゲージ会社の状況次第では韓国は外部からの衝撃に一層敏感に変わるであろうとの見通しを示した。<後略>


▽ソース:ソウル新聞(韓国語)(2008/09/01 17:00)
http://www.seoul.co.kr/news/newsView.php?id=20080901500010
http://kr.news.yahoo.com/service/news/shellview.htm?linkid=4&articleid=20080901170039870h2&newssetid=1331

ちょっとアレなニュース 【経済】英タイムズ紙、「韓国の外為危機は『暗黒の9月』に向かっている。投資と為替管理の失敗で危機回避は困難」と報道 [09/01]



サブプライム危機以降、ドルの下落が問題となっていますが、実は韓国のウォンはそのドルに対しても大幅に値を下げていて、韓国政府はウォン高介入を繰り返しています。
1998年のアジア通貨危機以降、韓国をはじめとするアジアの新興国通貨危機の再発を防ぐために、巨額の外貨準備を積み立てていました。しかし、今回のウォン下落の結果、韓国の外貨準備高はIMFが勧めるレベルを相当下回っており、韓国の通貨危機がささやかれる事態となっていました。
ところがこの英タイムズ紙の記事によると、その残った外貨準備高の大部分は米国債ではなく、サブプライム危機で価値が大きく毀損しているアメリカのモーゲージ債で運用されており、経営危機に陥っているモーゲージ会社のファニーメイとフレディーマックへの依存が大きいようです。


韓国市場では以前から「9月危機」説がささやかれており、このタイムズ紙の記事はそれに拍車をかける結果となったようです。

http://file.chosunonline.com//article/2008/09/03/925262076105906564.jpg

http://www.chosunonline.com/article/20080903000023



このままだとさすがにヤバいのではないかと僕も思ったのですが、どうやらアメリカ政府はファニーメイとフレディーマックに公的資金を投入して救済する方針を固めたようです。

 【ワシントン=西崎香】経営難に直面している米政府系住宅金融機関の連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディーマック)の救済問題で、米政府は両社を管理下に置く見通しだ。公的資金の注入を伴うとみられる。米金融史上最大の救済になる可能性もあり、米サブプライムローン問題に端を発した世界的な金融不安は、大きな節目を迎えそうだ。


 ポールソン財務長官と連邦準備制度理事会FRB)のバーナンキ議長、両社の最高経営責任者らが救済策を巡って5日に緊急協議に入った、などと米メディアが一斉に伝えた。財務省はコメントを避けているが、近く対策が発表される可能性が大きい。

http://www.asahi.com/business/update/0906/TKY200809060224.html



この措置が功を奏せば韓国の通貨危機も一息つくことになりますが、韓国が外貨準備高に不安を抱えているのは確かですから、韓国経済の動向はまだ目が離せなさそうですね。