特定郵便局と新聞販売店の関係
日経BPの「SAFTY JANAN」に「『ネットは新聞を殺すのか?』&『新聞のなくなる日』(その1)」と題したインタビューが掲載されているのですが、その中に特定郵便局と新聞販売店の関係に関して、興味深い記述を見つけました。
このインタビューで元毎日新聞社取締役編集局長の歌川令三氏(東京財団特別研究員)は、日本の新聞のビジネスモデルが確立したのは日露戦争のときであると語り、そのビジネスモデルの特徴の一つとして、戸別配達について以下のように語っています。
第1に部数が増えて戸別配達網が確立した。世界で戸別配達制度を持っているには日本と韓国だけです。韓国はかつて日本の植民地だったので、その習慣が残っている。実は新聞社は顧客の名簿を持っていません。名簿はすべて販売店が握っているのです。もともと新聞社は各地の特定郵便局に新聞の卸売を頼みました。特定郵便局長は地方の有力者ですから都合がよかったんでしょう。そこから販売店に発展したため、新聞社は各販売店と個別契約を結んでいるのです。
この話によると、新聞販売店は新聞の卸売りを引き受けた特定郵便局から発展したようです。
特定郵便局と言えば、昨年の郵政政局で報道されたように、国会議員、特に自民党の選挙に大きな力を持っています。郵政民営化があれだけ大きな政治的抵抗を受けた理由の一つは、明らかに特定郵便局長の団体「大樹会」の抵抗でしょう。
新聞販売店はその特定郵便局から発展したものですから、今でも特定郵便局と同様に地域社会に大きな力を持っているでしょう。国会議員への影響力も特定郵便局と同様に大きいと考えられます。
3/31の記事で、新聞販売店が国会議員の選挙協力をしているために、「新聞の特殊指定見直し反対」を唱える政治家が多いのではないかという副会長さんの推測を紹介しましたが、先ほどのインタビューはこの推測を裏付ける一つの傍証ではないでしょうか。