ハゲタカにっぽん
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は22日、米証券2位のモルガン・スタンレーに出資することで合意したと発表した。金融当局の認可を前提に、モルガンの普通株式の10〜20%を取得する方針。8月末の株価を基準に計算すると、出資額は最大9000億円規模の見通しで、三菱UFJがモルガンの筆頭株主となる可能性が高い。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080922/fnc0809222200013-n1.htm
野村ホールディングスは23日、経営破綻した米証券大手リーマン・ブラザーズの欧州部門を買収することで基本合意したと発表した。買収額については明らかにしていない。野村は既に、200億円超でアジア・太平洋部門を買収することでリーマン側と基本合意しており、海外事業の大幅な強化を目指す。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080923/fnc0809232301005-n1.htm
三井住友フィナンシャルグループが、米金融大手ゴールドマン・サックスの要請に応じ、最大数千億円規模を出資する方向で調整していることが24日、分かった。米金融危機による市場の混乱などで経営環境が悪化したゴールドマンは、23日に増資計画を発表したばかり。三井住友は国内外の投資銀行業務などを強化するのが狙いだ。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/080924/fnc0809241138008-n1.htm
今回の金融危機で苦況に陥ったアメリカの投資銀行に対して、三菱UFJ、野村、三井住友といった日本勢による投資や買収が相次いでいます。
今回の危機が起こる前は、アラブ産油国や中国、ロシア、シンガポールなどのSWF(政府系ファンド)の動きばかりが目立っていて、「日本もSWFを立ち上げるべき」などという議論があったのですが、今回の危機ではそのようなSWFの動きは全く見られませんね。リーマンの米国部門を買収したのも英バークレイズでしたし。
アメリカの金融業界に体力があるときは、非民主主義で国家主義的な国のマネーが入っても心配はしないのでしょうが、金融危機で余力がなくなってしまうと、いくら困っていてもそういう国のマネーを入れるのは怖くてできないんでしょうね。
こういうときに日本勢にお呼びがかかるというのも、日本という国がアメリカから信頼されている証なのでしょう。このような信頼感こそが、本当の意味でのソフトパワーなのでしょうね。
あと、変に国の色が付いているSWFよりも、純粋な民間資本の方が受け入れる企業としても安心できるのでしょう。民間企業ならば市場原理に従って動くことが期待できますが、国家は(特に中国やロシアなどは)それとは違う論理で動きますから。
今後も経済危機の度に日米欧間で、買収や投資といった資本の行き来があるのでしょうが、案外こういう形で経済の一体化というのは進んでいくのかもしれませんね。少なくとも観念的な「アジア共同体」よりは、こっちの方が現実的だと思います。