自民党利上げ派と民主党利上げ派の違い
民主党の枝野議員が「朝まで生テレビ」で利上げを主張したことについて、基本的な経済法則に反していると批判の声が上がっています。
これに対して、「解決不能」(id:hagakurekakugo)さんから、自民党の与謝野氏も同じ主張をしているのではないかという指摘がありました。
http://d.hatena.ne.jp/kmori58/20080927/p1
暗黒卿が「財政政策による景気刺激は1回限りで借金が残るだけであり金融政策でやった方がいい」という意味の発言をしたところ、枝野議員は「財政政策に効果がないのは同意だが、金融緩和はバブルを生むだけだ。それより、銀行の預金金利を上げるべき」と発言。
暗黒卿も呆れて「今、テレビで流れちゃったけど、見た人はかなりびっくりしてると思う。預金金利を上げて景気回復するなんてことはありえない。こういう発言が出るようじゃ民主党はまだまだだ」
http://d.hatena.ne.jp/sunafukin99/20080927/1222513663こんな経済認識の連中が野党に雁首揃えてるようじゃ先が思いやられる。アメリカあたりではあまり考えられない状況だ
利上げは加熱しすぎた景気を冷やすために行われる政策であり、景気を良くするなどあり得ない話だ。利上げで景気回復など疑似科学に等しい。
うーん、俺は経済のことはさっぱり分からんのだが、枝野議員の発言ってこの与謝野経財相の公約と同じじゃないのか?違う?
与謝野氏:社会保障費2200億円抑制目標、限界に−公約発表会見(3)与謝野氏は、会見で福田康夫首相(党総裁)の退陣表明に伴う党総裁選挙(10日告示、22日投票)で掲げる政権公約「堂々たる政治・あたたかい改革」を発表。景気後退への対応として「金利正常化による預金収入増と消費拡大」を掲げた。
枝野議員の発言と与謝野経財相の公約って同じじゃね? - 解決不能
金利正常化ってつまりは利上げの事でしょ?リフレ派のid:udy氏がブクマで軽くキレてるし。だとすると↑のエントリの批判がそのまま与謝野氏の公約にも当てはまらないか?もし俺がとんでもない馬鹿で間違ってる事言ってるんだったらあっさり訂正しますから、誰か教えてくださいm(_ _)m
僕もてっきりそう思っていたのですが、グラさんの話によると、やはり自民党と民主党は違うようです。
[本当に社会に害なす暴言とは?(民主党枝野幸男議員の朝ナマ発言を考える)]
民主党の政策通(笑
田中先生がお絵かきモードで丁寧にご教授していらっしゃいますが、、、
この枝野某の発言に頭を抱えた人は少なくないと思います。
「貸出金利は上げずに、預金金利だけ上げるべきだ。銀行は公的資金で恩恵を受けているのだから、その分を預金者に返すべきだ」みたいなことをね、このバカもといセンセイは言っていたと思う。
んで、、、それって、規制金利復活っすかぁ???
そういう認識ってないのかね。。。
高橋先生が、金融政策の重要性を訴えていたにも関わらず、センセイ方はスルーな状況を見て、結局、日本のフンづまりを生み出しているのは、やっぱりセンセイ方のバカさ加減が日本人を苦しめているんじゃないか、と思ったのですよ。
こういうやつが政策通なんていってる政党には、、、やっぱり政権をまかせられんの、ごめんね。。。。。
与謝野氏の利上げ論は日銀が主張していた「金利正常化」ですから、普通に中央銀行が政策金利を上げるだけでしょう。これは間違っているとはいえ、資本主義・市場経済の範囲内の政策と言えるでしょう。
しかし、枝野氏の発言では「貸出金利は上げずに、預金金利だけ上げるべきだ。」となってますので、政府が直接金利を規制する、社会主義・計画経済的な手法だと言えるでしょう。
与謝野氏の方法では利上げで普通に景気が悪くなるだけですが、枝野氏の方法だと預金金利だけを政府が強引に挙げた結果、銀行は預金を拒否し始めるでしょう。そうなると、銀行が資金を貸し出して借りた側がそれを預金するという信用創造のメカニズムが働かなくなり、マネーサプライは急減し、与謝野氏の手法とは比べものにならないくらいの大不況となってしまうと思います。(もし法律で預金拒否が禁止されたとしても、あの手この手で「預かり渋り」をするでしょうね)
こう考えると、一見同じ利上げに見えても、与謝野氏と枝野氏の間には根本的な違いがあるように思えますね。こんな反経済学的な政策が実施される可能性があるというだけでも、民主党には投票したくなくないです。
追加(9/30)
「Econviews-hatena ver.∞」(id:econ2009)さんが、僕よりもきちんとこの問題を分析してくれました。
Econviews-hatena ver.∞
僕は預金拒否が起こるのではないかと考えたのですが、econ2009さんによると貸出金利の上昇が起こって、結局金利全体が上昇することになるようです。
あと、枝野議員の主張している「貸出金利を吊り上げることで銀行は利益を得ている」という説の検証や、日銀の金利政策との関係など、さすがと思わせる分析ですね。
追加(10/1)
「地を這う難破船」(id:sk-44)さんが、「朝まで生テレビ」で問題の枝野議員の発言を、その前後の発言も含めてテキストに書き起こしてくれました。
それによると、枝野議員の発言は、次のようなものであったそうです。
枝野幸男 : いや、あのね、学者的な理論からどうなのか別としてもね。少なくともその財政政策は効かないと。私はそこはまったく同感です。で、金融政策で金融緩和によってどうなるのかといったら、一種のバブルを起こすだけで、確かに止血剤としてはありうるかも知れない。つまりアメリカがあまりにもひどすぎます。そしてこれはたぶん最低でも3年、輸出は駄目だと、思ったほうがいい、と。その間の止血としてはありうるかも知れませんが、本格的に、特に内需主導で、国内消費主導の経済を回復させようと思ったときには、それはあの、一種のバブルを生み出すだけであまり効果はない。僕はむしろ、これは党の見解ではなくて私個人の見解ですが、むしろ、預金金利を上げるべきです。銀行は。銀行に預金金利を、それこそ強力な行政主導をして。なぜならば、日本のほとんどの銀行は、国民の税金で潰れるところを助けてもらったんです。だけどいまだに大銀行の経営者の人たちの所得は、相対的には非常に高いです。そしてべらぼうに利益を上げてきました、この間。それは、預金金利の下がり方と、貸出金利の下がり方で、預金金利の下がり方のほうが圧倒的に大きかったからです、この間。それは国民に還元すべきです。そうすると、それによって国民の所得は財政出動を使わずに、相当程度増えます。ですから、預金金利を行政主導で、貸出金利の引き上げを後回しにして、今の体力的な余力の範囲内で引き上げろ、と。これをやるべきだと思います。
朝生における枝野幸男議員の発言の詳細というか再現書き起こし - 地を這う難破船
確かに枝野議員は、金利全体ではなく預金金利だけを上げろと言ってますね。その手段としては「強力な行政指導」を挙げてますので、政府が直接金利を規制する方法を考えていることになるでしょう。