Baatarismの溜息通信

政治や経済を中心にいろんなことを場当たり的に論じるブログ。

日銀は本当にインフレターゲットを導入したのか?

日銀は13─14日に開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ基金の増額による追加金融緩和を決定した。リスク性資産も買い入れる基金について、国債の買い入れ枠を10兆円拡大。基金規模はこれまでの55兆円程度から65兆円程度となる。政策金利は現行の…

日本におけるFRBインフレターゲット導入の影響

前回の記事でFRBのインフレターゲット導入について説明しましたが、日本でもそれを受けて様々な議論が出てきました。まず日銀ですが、白川総裁は「FRBが日銀の政策に近づいてきたという認識を持っている」というピント外れな発言をしました。 さらにFR…

FRBがインフレターゲット導入

[25日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)は25日、2%のインフレ目標を導入すると発表した。長らくインフレ目標の導入を提唱していたバーナンキ議長の意向が実現した格好で、これによりFRBは歴史的な一歩を踏み出した。今回初めて発表された「…

「増税なくして復興なし」だった財務省と野田政権

東日本大震災の復興費用のための臨時増税を盛り込んだ復興財源確保法など復興関連法は30日の参院本会議で、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立した。野田政権は復興財源に一定のめどをつけ、今後は消費増税と社会保障の一体改革に正面から取…

続・なぜTPP反対論が盛り上がるのか

前回のエントリーには非常に多くのご意見をいただき、ありがとうございました。長い間ブログをやっていますが、ここまでコメントが多かったのは初めてです。 さすがにここまで多いと一つ一つに返事をする余裕はないのですが、通して読んでみて僕が思ったこと…

なぜTPP反対論が盛り上がるのか

野田政権がTPP(環太平洋経済連携協定)への参加方針を打ち出してから、日本中で反対の声がわき起こっています。従来貿易自由化に反対であった農業団体などの利害関係者だけではなく、それとは関係の無い一般の人にも反対意見が多く、ネットでも反対意見が大…

スティーブ・ジョブズ "The Big Brother for the Rest of Us"

10/5(アメリカ西海岸時間)、Appleの共同設立者であり、その経営を立て直した中興の祖でもあった、スティーブ・ジョブズ氏が亡くなりました。 僕は、ちょうどそのニュースを通勤途中の電車の中で、iPhoneでtwitterを読んでいる時に知ったのですが、思わず涙…

政府が「復興債」に復興と関係ない項目を入れる理由

政府は9日、2011年度第3次補正予算案に盛る円高対策の財源を、東日本大震災の復興費用を調達するため発行する復興債で賄う方針を固めた。 復興債は臨時増税などで償還財源をあらかじめ明確にすることになっている。今後5年間で13兆円を見込む復興費…

野田政権で予想されること

先週の民主党代表選は野田佳彦氏が当選し、野田政権が発足しました。彼は財務相時代から増税を主張している政治家でしたが、就任後の財務相や経財相の人事を見ても、やはり「財政規律派」が登用された増税重視の布陣となっています。安住財務相については経…

韓流と円高の意外な関係

俳優の高岡蒼甫氏がTwitterで、フジテレビの韓流「押しつけ」を批判したことをきっかけに、フジテレビへの批判が強まり、8/7には抗議デモも行われる事態になっています。 ただ、このような「韓流批判」については、フジテレビの押し付けがましいマーケティン…

書評「震災恐慌!〜経済無策で恐慌がくる!」

震災恐慌!?経済無策で恐慌がくる!作者: 田中秀臣,上念司出版社/メーカー: 宝島社発売日: 2011/05/20メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 58回この商品を含むブログ (22件) を見る 東日本大震災の後、復興をテーマに多くの本が出版されました。この本もその…

なぜここまで政治は混乱してしまったのか

東日本大震災以降の政治の混乱は、はっきりいって目を覆わんばかりの惨状と言って良いでしょう。震災後も与野党ばかりか与党内でも対立が続き、ついには政権の中でも首相の座に居座ろうとする菅総理と、辞めさせようとする閣僚や党幹部の間で対立が起きてい…

与謝野馨発言録

個人的な事情で、2ヶ月以上更新が滞ってしまいました。いろいろ書きたいネタはあるのですが、最近ブログを書く時間が取れないので、こんなことになっています。どうもすいません。 このブログでずっと批判してきた政治家と言えば、まず上げられるのが与謝野…

復興財源について

東日本大震災は日本に甚大な被害をもたらしました。この被害の直接的な被害額だけでも、内閣府の資産では16兆円〜25兆円になるとされています。当然、その復興のためには莫大な予算が必要となるため、財源をどうするかが問題となっています。復興財源として…

政府、電力不足に対する抜本的対策発表へ

政府は4月1日、夏の関東圏の電力不足に対する、抜本的な対策を発表した。 東京電力による電力設備の復旧が予定通り進んだとしても、この夏は約1500万kwの電力が不足すると見込まれている。しかし、現在行われている計画停電は、工場などの安定操業に支障を来…

大震災後の日本の動きについて

3/11に宮城県沖でM9.0の巨大地震が発生し、東北と関東の太平洋側は地震と津波で壊滅的な被害を受け、現時点で死者・行方不明者が2万人以上という大惨事となりました。また、この地震と津波の影響で福島第一原発では大事故が発生し、今もこれ以上の事態の悪化…

疑似科学としての『デフレの正体』

以前に藻谷浩介氏の著書『デフレの正体』について、菅原晃氏がブログで行った批判のリンク集をまとめたのですが、その後『疑似科学ニュース』で、様々なサイトでの批判記事がリンク集にまとめられていました。菅原晃氏のブログも取り上げられています。 「デ…

増税オールスター内閣の戦略は?

菅内閣の内閣改造は、事前報道では仙谷官房長官と馬淵国交相の交代が焦点になっていましたが、実際の改造では、立ち上がれ日本を離党した与謝野馨氏の経済財政相就任や藤井泰久氏の内閣官房副長官起用など、増税派の政治家が多数起用される結果となりました…

菅原晃氏による『デフレの正体』批判リンク集

前回の記事で菅原晃氏による藻谷浩介氏の著書『デフレの正体』批判について取り上げたのですが、その時はまだ菅原氏のブログの記事全部には目を通していませんでした。 そこで今回、記事を一通り読んでみたのですが、本そのものに対する批判だけではなく、そ…

新年のあいさつ

ずっとブログの更新ができないまま、年が明けてしまいました。 あれから、北朝鮮の韓国・延坪(ヨンピョン)島への攻撃、東京都の青少年育成条例によるマンガ規制問題、財務省による増税キャンペーンなど、気になる問題は色々あったのですが、ゆっくり考えを…

日中関係雑感

すでに皆さんご存じの通り、9/7に尖閣諸島で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件をきっかけに、日中関係は極めて悪化してしまいました。 この事件で、当初菅政権は「毅然とした態度」で日本の法律に従って「粛々と」事件を処理する方針を打ち出し、…

日銀の「見かけ倒し」の金融緩和

10/5の政策決定会合で、日銀は金融緩和措置を行いました。国債買い入れを通貨発行量以下とする「銀行券ルール」の枠外で、国債などの金融資産を買い入れる基金を創設するなど、これまでの日銀の緩和策にない政策が盛り込まれており、市場には驚きを持って迎…

円高雑感

色々あって、また一月ほど更新ができませんでした。どうもすいません。さて、菅vs小沢の戦いになった民主党代表選は、結局菅総理の勝利に終わったわけですが、その間に急激に円高が進み、代表戦で菅総理が勝利した直後は、このまま無為無策を決め込むのでな…

クルーグマン発言で思ったこと

風邪をひいたり、個人的な事情があったりして、1月ほどブログの更新ができませんでした。いつも読んで下さっている方々には、申し訳ありませんでした。さて、週刊現代に掲載されていたクルーグマンのインタビュー記事で、日銀に対してこれまでにない過激な…

みんなの党とリフレ政策

すでに皆さんご存知の通り、7月11日に行われた参院選は、民主党は44議席しか獲得できず、与党は過半数割れに追い込まれました。民主党の議席数は自民党(51議席)を下回るもので、民主党はこの選挙に大敗したと考えてよいでしょう。 この選挙で10議席を獲得…

消費税増税は本当に税収を増やすのか?

個人的に色々あって、しばらくブログの更新をお休みしていました。 その間に菅直人政権が発足したのですが、この政権は菅首相をはじめ、仙谷官房長官、野田財務相、枝野幹事長、玄葉政調会長と、消費税増税を主張する政治家ばかり要職についた政権でした。案…

菅政権のトンデモな二人

新首相に就任する菅直人財務相は4日、内閣・民主党役員人事に着手した。 官房長官・副総理に仙谷由人国家戦略相、党幹事長に枝野幸男行政刷新相を起用する方向だ。菅氏の後任の財務相には野田佳彦財務副大臣を昇格させ、仙谷氏の後任の国家戦略相には荒井聰…

バーナンキFRB議長講演に対する誤解について

5月26日、バーナンキFRB議長が来日して日銀で講演を行いました。ただ、そのことを報じた記事の中に、バーナンキ氏の講演内容を曲解しているのでないかと思われるものをみつけました。 日本銀行が26日開いた会議で、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナ…

なぜ日本人は自由競争も所得再分配も嫌うのか?

かつてこのブログで、日本人は市場における自由競争と政府によるセーフティネットの双方に対する信頼が低いという話を取り上げたことがありました。このような傾向は、主要国では日本だけに見られるようです。 「不可解な世論」について考えてみる - Baatari…

民主党でもマニフェストにリフレ政策採用の動き(その3)

このブログでも注目していた民主党の動きですが、残念ながらインフレターゲットは採用されなかったようです。 [東京 12日 ロイター] 政府・民主党が今夏の参院選マニフェスト(政権公約)の策定に向け、実務者による「マニフェスト企画委員会」で本格的…